中小企業が新卒採用を行うメリットとは?デメリットやポイントと合わせ徹底解説!

中小企業が新卒採用を行うメリットとは?デメリットやポイントと合わせ徹底解説!

企業の成長と存続において、人材確保は避けて通れない課題です。厚生労働省の『一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)』に記載されているように、採用市場では依然として売り手優位が続いているため、その難易度は以前にも増して困難になってきています。

とりわけ中小企業では、豊富な経験を持つ中途採用者の確保が思うように進まない現状を考えると、新卒採用は魅力的な選択肢となってきます。しかしながら、「教育コストがかかる新卒採用は無駄じゃないのか?」「中小企業が新卒採用をするメリットは存在するの?」といった疑問をお持ちの採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、中小企業の新卒採用に関し、そのメリットについて詳しく解説していきます。

監修者情報

監修者用
株式会社uloqo
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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中小企業における新卒採用の基本

企業の将来を左右する新卒採用。その成功には、本質的な理解と綿密な準備が欠かせません。ここでは、新卒採用の基本的な考え方と、中小企業ならではの採用目的について掘り下げていきましょう。

新卒採用の基本概念と目的

新卒採用は、学校を卒業するタイミングの学生を主なターゲットとした採用活動です。大手企業だけでなく、中小企業にとっても将来の人材確保における重要な選択肢となっています。経験のない若手を受け入れることで、企業の価値観や文化を自然に吸収できる柔軟な人材を育てられることが、この採用形態の真髄といえるでしょう。

採用の意義は、単なる人員補充にとどまりません。次世代の経営幹部を育成し、組織に新しい息吹をもたらすことも大切な目的です。また、既存の枠にとらわれない発想で業務改善につながるケースも少なくありません。

■新卒採用戦略についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【2024年版新卒採用戦略】基本フローやポイント、成功事例を徹底解説!

中小企業における新卒採用の目的

中小企業が新卒採用に取り組む背景には、大手企業とは異なる独自の課題があります。

その筆頭が人材不足への対応です。経営資源の制約から、経験豊富な中途採用者の獲得が難しい現状において、将来性豊かな若手の採用と育成は、企業の地力を着実に高めていく有効な手段となります。

中小企業の新卒採用導入メリット5選

新卒採用がもたらす恩恵は数多くありますが、中小企業ならではの特徴を活かすことで、そのメリットを最大限に引き出すことができます。ここからは、特に重要な以下の5つのメリットについて、具体的に見ていきましょう。

中小企業 新卒採用 メリット

人材不足を解消する可能性

経営資源に限りのある中小企業では、専門性の高いスキルや即戦力を持つ人材の確保に苦心するケースが少なくありません。予算の制約や知名度の壁が、良質な中途採用を難しくしているのが実情です。

そんな中で注目したいのが新卒採用です。確かに入社時点での即戦力は期待できませんが、企業のニーズに沿った人材育成が可能となります。

柔軟な発想と新しい視点の導入

これまでの仕事経験にとらわれない新卒社員は、従来の常識にとらわれない斬新な発想をもたらしてくれます。中小企業において、この新鮮な視点は非常に貴重です。長年変わることのなかった業務プロセスの見直しや、新規事業の立ち上げなど、様々な場面で革新的なアイデアが生まれる可能性を秘めています。

特に近年では、デジタル領域での活躍が目覚ましいものがあります。SNSやデジタルマーケティングに精通した若手社員が、従来の販促活動に新たな風を吹き込むといった具合です。こうした新しい視点は、企業の成長戦略を考える上で大きな刺激となることでしょう。

企業文化への適応がスムーズ

新卒採用の大きな魅力として、企業文化との調和のしやすさが挙げられます。キャリアをスタートさせたばかりの新卒者は、柔軟な姿勢で企業の価値観を吸収していきます。

この特性により、職場でのコミュニケーションもスムーズに進み、組織全体の生産性向上にもつながっていくのです。

また、企業文化への深い理解は、社員の定着率向上にも好影響を与えます。企業理念や将来のビジョンを共有できる仲間が増えることで、組織としての一体感が醸成され長期的な経営基盤の強化にも貢献するでしょう。

若手社員による社内の活性化

若い世代の新卒社員を迎えることで、職場全体に新たなエネルギーが注ぎ込まれることがあります。

中小企業では、長年のルーチン業務が定着している場合が多く、時には社内がマンネリ化してしまうこともあります。そんな状況下で、新卒社員のフレッシュな視点や積極的な姿勢が既存の社員にもポジティブな刺激を与えるでしょう。

また、若手社員が積極的に挑戦する姿勢は、職場全体の士気を高める効果も期待されます。新卒社員が提案したアイデアやプロジェクトに既存社員が関与することで、社内全体の連携が深まり、活気ある職場を実現できます。

将来の幹部候補の確保

中小企業が持続的に成長するためには、長期的な視点でリーダー候補を育成することが重要です。

新卒採用は、こうした将来の幹部候補を確保するための最適な方法の一つといえます。若手社員は、企業の成長とともに自身もスキルアップし、長期にわたって会社を支える存在へと成長する可能性があります。

さらに、新卒社員の育成プロセスは、企業の価値観やビジョンを直接伝える機会でもあります。これにより、社員が企業と一体となり、共に成長を目指す環境を作り出すことができます。このようにしてビジョンを深く理解しスキルを磨いた幹部候補は、企業の中小企業の未来を担う重要な人材となるでしょう。

■新卒採用のメリットについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
新卒採用のメリット5選!デメリットや向いている企業についても徹底解説!

中小企業の新卒採用における3つのデメリット

新卒採用は将来への投資として魅力的である一方で、中小企業特有の課題も存在します。

ここでは、採用活動を進める前に認識しておくべき重要な以下の3つのデメリットについて、詳しく解説していきます。

中小企業 新卒採用 デメリット

採用活動におけるコストと時間の負担

新卒採用を行うためには、採用活動全体のコストが発生します。採用広告や合同説明会への参加費用、さらに選考プロセスにかかる時間や人手の負担が増大します。中小企業では、これらのリソースを確保することが難しく、採用効率が低下するリスクがあります。

また、限られた人員の中で採用活動を進めると、日常業務との両立が困難になるケースもあります。これが原因で、採用活動の成果が出にくくなる場合も少なくありません。

即戦力不足の懸念

新卒者を迎え入れる際に最も頭を悩ませるのが、実務経験の欠如です。特に中小企業では、一人一人の社員が担う役割が大きく、限られた人員で業務を回している現状があります。そのため、新卒社員が業務に習熟するまでの期間、周囲の社員への負担が避けられません。

教育面での課題も見逃せません。実務スキルの習得支援はもちろんのこと、ビジネスマナーや組織での振る舞い方まで、幅広い指導が必要となってきます。

このような人材育成には相応の時間と労力が求められるため、即戦力確保を優先する企業にとっては大きな投資となることは否めないでしょう。

採用後の離職リスク

中小企業における新卒採用の悩ましい課題として、若手社員の早期離職が挙げられます。大手企業と比べて待遇面での優位性を打ち出しにくい中小企業では、キャリアアップを目指す若手が転職を選択するケースが目立ちます。

採用活動から入社後の研修まで、多大な時間と費用を投じたにもかかわらず、その投資が水泡に帰してしまう可能性は、経営上の大きなリスクとなります。問題の根底には、職場環境とのミスマッチや成長機会の不足があることが少なくありません。組織規模や経営資源の制約から、社員一人一人の希望に沿ったキャリア支援が行き届かないのが実情です。

このような状況が、若手社員の離職を促進する要因となっているのです。今日の若者は自身のキャリアに対する意識が高く、成長の機会を強く求める傾向にあります。中小企業がこの期待に十分に応えられないとき、離職リスクは一層高まることになります。

中小企業が新卒採用に苦戦するのはなぜ?

新卒採用に取り組む中小企業の多くは、大手企業との競争や社内リソースの制約など、様々な壁に直面しています。

ここでは、その背景にある以下のような要因を具体的に紐解いていきましょう。

  1. 採用に必要な資金やリソースの制約
  2. 求職者の認知度不足
  3. 大企業との競争における課題

採用に必要な資金やリソースの制約

中小企業の採用活動には、常に予算と人員の制約が付きまといます。求人広告の出稿費用や会社説明会の運営経費は、企業規模によっては大きな負担となります。特に新卒採用を初めて手掛ける企業では、限られたリソースをどう配分すべきか、その判断に迷うことも少なくありません。

人的リソースの面でも課題が山積みです。採用担当者が他の業務と掛け持ちせざるを得ない状況では、きめ細かな採用活動の実施が困難になります。この状況は、選考プロセスの質を低下させるだけでなく、せっかくの応募者との出会いを活かしきれないリスクも伴います。

求職者の認知度不足

中小企業の採用活動において最も大きな壁となるのが、企業認知度の低さです。いかに魅力的な職場環境や成長機会を用意していても、その存在自体を学生に知ってもらえなければ、採用活動の第一歩を踏み出すことすら難しい状況に直面します。

この問題は、単に応募者数の確保に影響するだけではありません。知名度の低い企業に対して、学生は慎重な姿勢を示す傾向にあります。

「知らない会社だから」という理由で選考への参加を躊躇する学生も多く、結果として優秀な人材との出会いの機会を失ってしまうことになります。企業の実力や可能性が、認知度の壁に阻まれてしまうというのが、中小企業の採用における最も残念な現実かもしれません。

■採用マーケティングについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【成功事例】採用マーケティングとは?メリットや手順・手法を解説!

大企業との競争における課題

新卒市場では、多くの学生が安定性や待遇面を重視し、大手企業への就職を目指す傾向にあります。中小企業がこの流れに抗って優秀な人材を獲得するには、独自の強みを効果的にアピールする必要があります。

しかし、知名度やブランド力で劣る中小企業にとって、その入り口で苦戦を強いられるのが現状です。

さらに深刻なのが、これまで課題として上げた知名度・リソースによるものです。大手企業が就職フェアや各種広告に大規模な投資を行う中、中小企業がそれと同等の展開を行うのは容易ではありません。結果として、企業の魅力を学生に伝える機会そのものが限られてしまうという悪循環に陥りがちです。

中小企業が新卒採用を成功させるための4つのポイント

新卒採用を成功に導くには、中小企業ならではの戦略的なアプローチが欠かせません。ここでは、実践的で効果の高い以下の4つのポイントについて詳しく解説していきます。

中小企業 新卒採用 ポイント

採用力強化のための社内体制の構築

新卒採用の成否を分けるのは、まず何より社内の受け入れ態勢です。中小企業では採用担当者が限られるため、多くの場合、既存社員が本来の業務と並行して採用活動を担当することになります。しかし、この兼任体制は業務負担の増加を招き、ともすれば採用の質の低下にもつながりかねません。

この課題を克服するためには、採用プロセスの標準化が重要な鍵となります。例えば、面接での質問項目や評価基準を統一することで、担当者が変わっても一貫した採用活動が可能になります。

さらに、経営層が積極的に採用活動に関与し、企業のビジョンや価値観を直接伝えることで、応募者への印象も大きく変わってきます。

オンラインツールとデジタル戦略の活用

デジタル技術の進化は、中小企業の採用活動に新たな可能性をもたらしています。特にオンライン面接ツールの活用は、採用プロセスの効率を飛躍的に高めます。遠方の学生との面接でも、移動にかかる時間やコストを大幅に削減できるようになりました。

採用管理システム(ATS)の導入も、効率化の重要な要素です。応募者データを一元管理することで、採用活動全体の生産性が向上します。

また、InstagramやTwitterといったSNSを活用した企業ブランディングも効果的です。日常的な社内の様子や社員の生の声を発信することで、企業の魅力をより身近に感じてもらえる環境が整います。

求職者との信頼関係構築

中小企業が大手との競争を勝ち抜くには、求職者との間に強固な信頼関係を築くことが不可欠です。企業規模や知名度の低さは、きめ細かな対応で十分にカバーできます。面接では企業の現状や将来ビジョンを包み隠さず伝え、学生からの質問には誠実に向き合う姿勢が重要です。

内定後のフォローアップも見逃せないポイントです。入社までの期間に定期的なコミュニケーションを図り、企業の最新情報を共有することで、入社への期待感を高めることができます。このような丁寧な対応が、結果として採用の成功確率を押し上げることにつながるのです。

外部リソースの活用

限られた経営資源を補完する手段として、外部の専門家やサービスの活用も有効な選択肢となります。新卒紹介サービスや採用代行(RPO)を利用することで、採用プロセスの一部を外部委託し、自社の負担を適切に分散させることができます。

合同説明会への参加や就職サイトの活用も、求職者との接点を広げる重要な機会です。ただし、外部リソースを活用する際は、自社の採用ニーズと予算に見合ったサービスを慎重に選定することが肝要です。

適切なパートナーを選ぶことで、より効率的で実効性の高い採用活動が実現できるでしょう。

中小企業の新卒採用向けのサービス6選

新卒採用を効果的に進めるには、様々な採用サービスの活用が欠かせません。
ここでは、中小企業が活用できる主要な採用サービスについて、その特徴と活用方法を詳しく解説していきます。

  1. 就職サイト
  2. 新卒紹介
  3. ダイレクトリクルーティング
  4. 合同説明会
  5. 採用代行
  6. 採用ツール

就職サイト

新卒採用市場の中核を担うのが、リクナビやマイナビといった大手就職サイトです。これらのプラットフォームは、就職活動を行う学生の大半が利用しており、幅広い層へ企業情報を届けることができます。

中小企業にとっても、こうしたサイトへの出稿は、知名度向上と応募者確保の両面で大きな効果が期待できます。

新卒紹介

採用活動の時間とコストを効率化したい企業に特におすすめなのが、新卒紹介サービスです。専門のエージェントが企業の要件に沿った人材を厳選して紹介してくれるため、特に採用経験の少ない中小企業にとって心強い味方となります。

企業文化や求める人材像を丁寧にヒアリングした上で、マッチする候補者を紹介してくれる点も大きな魅力です。

ダイレクトリクルーティング

新しい採用手法として台頭してきているのが、企業から直接アプローチを行うダイレクトリクルーティングです。

LinkedInなどのプラットフォームを活用し、企業が主体的に求職者とコンタクトを取ることで、より効率的な人材獲得が可能になります。

■ダイレクトリクルーティングについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ダイレクトリクルーティングとは?最新サービス比較や費用相場も紹介!

合同説明会

多くの学生と直接対面できる機会として、合同説明会は依然として重要な位置を占めています。大手企業と同じ舞台で企業をアピールできる貴重な機会であり、中小企業の存在感を示すには絶好の場となります。

対面でのコミュニケーションを通じて、企業の魅力をより深く伝えられる点も見逃せません。

採用代行

採用活動全般を外部の専門家に委託できる採用代行(RPO)は、人的リソースの限られる中小企業にとって心強い味方です。

戦略立案から応募者対応、選考プロセスまで一貫してサポートを受けられるため、社内の負担を大幅に軽減することができます。

■新卒向けの採用代行についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
新卒向け採用代行(RPO)の特徴や費用相場|おすすめ10社比較も紹介

採用ツール

採用業務の効率化を支援する様々なツールも、近年ますます充実してきています。採用管理システム(ATS)の導入により、応募者データの一元管理や選考状況の可視化が容易になります。

また、動画を活用した求人情報の発信など、若い世代の心をつかむ新しい手法も次々と登場しています。これらのツールを適切に組み合わせることで、より効果的な採用活動が実現できるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事では、中小企業における新卒採用のメリット・デメリットをはじめ、成功に向けたポイントやおすすめサービスについてなど詳しく紹介してきました。

中小企業にとってもそのメリットは計り知れず
人材確保が大きな課題となっている中小企業にとって、新卒採用は将来への投資として非常に重要な選択肢となります。確かに、即戦力不足や離職リスクなど、乗り越えるべき課題は少なくなく、大手企業との競争や社内リソースの制約など、中小企業特有の難しさもあります。

しかし、中小企業の特性を活かし、適切な社内体制の構築や、デジタルツールの効果的な活用、そして何より求職者との丁寧な信頼関係構築に注力することで、これらの課題は十分に克服可能です。

本記事が、皆様の採用戦略を検討する際の一助となれば幸いです。

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