「そもそも役職手当ってなに?」
「誰にどのくらいの金額を支給すればいい?」
「役職手当に残業代は含まれるの?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
本記事では役職手当について、金額の決め方から注意点まで紹介します。
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役職手当とは?
役職手当とは、役職につく人に対して支払われる手当のことです。役職につくことで責任や負担が増えるため、その分の手当だといえます。
ここで、役職の定義を確認してみましょう。役職とは、役目や職務のことを指しますが、特に管理職のことをいう場合が多いです。会社によって役職名はさまざまで、部長や係長、主任、メンターといった役職名が存在します。
また、役職手当は役付手当、管理職手当と呼ばれることもあります。
役職手当の相場
会社によって、役職手当には次の2つの分類があります。「同じ役職なら支給額が同じ」場合と「役職が同じでも支給額が異なる」場合です。それぞれの場合で、役職手当の相場(平均額)は以下の通りです。
同じ役職の支給額は同じ場合
部長:86,687
課長:55,612
係長:25,601
同じ役職でも支給額が異なる場合
部長:105,180
課長:67,749
係長:31,430
業種別の役職手当の相場(同じ役職の支給額は同じ場合)
製造業
部長:81,943
課長:46,017
係長:18,754
卸売業、小売業
部長:69,567
課長:43,993
係長:21,704
建設業
部長:81,383
課長:48,453
係長:30,417
業種別の役職手当の相場(同じ役職でも支給額が異なる)
製造業
部長:96,261
課長:57,330
係長:21,991
卸売業・小売業
部長:105,600
課長:95,354
係長:66,043
建設業
部長:104,134
課長:61,122
係長:40,747
(引用:東京都産業労働局 中小企業の賃金事情(令和3年度版))
「中小企業の賃金事情(令和3年度版)」では、最高金額・最低金額、その他の業種など、さらに詳細に掲載されています。
役職手当の金額の決め方
役職手当の金額を設定する際は「基準」が重要です。もっとも権限の弱い役職を基準とするべきでしょう。その後に上位の役職へ支払う金額を設定すると決めやすいです。上位の役職ほど責任が重くなるため、金額は増加していきます。
その他にも、自社業界の役職手当の相場・傾向を調べてみてはいかがでしょうか。
↓
では、その上位の係長は2万円。
↓
その上位の課長は4万円。
↓
その上位の…
このように、権限の弱い役職を基準にして上位の役職手当を設定しましょう。
役職手当に残業代は含まれる?
一般的に、役職手当に残業代は含まれません。ただし、その役職者(≒管理職の人)が「管理監督者」の場合、残業代はもともと支払われません。
管理職と管理監督者の違い
管理職:明確な定義はなく、会社によって定義が異なります。
管理監督者:休日や時間外といった概念が適応されないほど、重大な責任や権限がある人。
上記が管理職と管理監督者の違いです。したがって、社内で管理職とされていても残業代が支払われる場合があります。従業員からの不満を出さないためにも、管理監督者であるか否かは周知させておくべきでしょう。
役職手当を支給する際のポイント
役職手当を支給する際のポイントは以下の3つです。
・管理職と管理監督者の違いを正しく理解する
・能力差は加味するのか厳密に決める
・就業規則にどのように掲載するのか決める
以下で詳しく解説します。
管理職と管理監督者の違いを正しく理解する
管理職と管理監督者の違いを理解していることが重要です。上記の通り、管理監督者には残業代が支給されません。残業代が支給されないことで、管理監督者の賃金が他の従業員より低くなってしまう可能性もあります。
したがって、管理監督者の責任に見合った役職手当を支払うことに注意しましょう。
能力差は加味するのか厳密に決める
同じ役職であれば全員に同額の役職手当を支払うのか、同じ役職であっても能力差を加味して役職手当の金額を変えるのか、という点に注意してください。
どちらの方が従業員から不満が出ないか、会社の運営方針などを踏まえて検討することが必要です。
就業規則にどのように掲載するのか決める
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
つまり、役職手当(=賃金)の決定、計算及び支払の方法を就業規則に掲載する必要があります。しかし、この就業規則が分かりづらければ従業員とトラブルになりかねません。なぜなら、従業員が「どんな基準で役職手当は支給されるのだろう」と不安になってしまうからです。
就業規則を分かりやすく書くことで、従業員とのトラブルを事前に回避できます。従業員に親切な書き方としては「部長:〇〇万円」といった書き方が考えられます。
しかし、能力差を加味したい場合もあるでしょう。そんなときは、「各人ごとに考慮して決定する」というように記載しましょう。
まとめ
役職手当は責任や負担に対して支払われるもの。会社・従業員の双方が納得できる形を目指したいですよね。役職手当の金額を設定する際はぜひ参考にしてみてください。
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