昇給制度とは|目的や昇給額・率など6タイプに分けて解説

昇給制度とは|目的や昇給額・率など6タイプに分けて解説 (1)

昇給制度は、社員のモチベーションや人件費に関わる重要な企業の評価システムです。
しかしながら、
・昇給制度について理解が浅い
・他社の昇給制度の現状がわからない
・昇給制度の全体感が理解できていない

という方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、「昇給制度とは何か」「昇給制度の種類6選」「昇給額/昇給率の平均」を解説します。

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監修者情報

監修者用
プロジェクトHRソリューションズ代表取締役
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月プロジェクトHRソリューションズを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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昇給とは?

昇給とは、基本給が上がることを意味します。また昇給制度とは企業ごとに定められている昇給時の給与改定の仕組みのことです。昇給と似た用語として
・昇格
・昇進

という単語がありますが、これらは等級や職位が上がることを意味しており、昇給とは別の意味になります。

昇給とベースアップの違いとは

昇給と似た用語としてベースアップという単語があります。昇給とベースアップの違いは、主に2点あります。
・昇給対象の違い
・昇給条件の違い

昇給対象の違い

1点目は昇給対象の違いです。「昇給」は基本的に”個人”ごとの基本給が上がることを意味しています。一方、「ベースアップ」は”全社員”の基本給が上がることを意味しています。

両者は昇給対象が、個人か全社員かという点で異なっています。

昇給条件の違い

2点目は昇給条件の違いです。「昇給」は個人の状況によって基本給が変動します。個人の状況とは具体的には
・勤続年数
・年齢
が挙げられます。

一方で「ベースアップ」は会社の状況によって基本給が変化します。会社の状況とは主に業績などが挙げられます。以上より両社は、昇給条件が、個人の状況か会社の状況かという点で異なっています。

企業規模ごとの昇給額平均

企業規模ごとの昇給額と昇給率

労働組合連合の発表によると、2019年の全体の平均昇給額は5,997円、昇給率は2.07%です(組合のある5405社のうち)。2018年は5934円であることから、全体としては前年より63円上昇しています。

大企業の平均昇給額
従業員数が300人以上:昇給額は6,199円(昇給率2.09%)
100~300人:昇給額は5,389円(昇給率1.98%)
100人以下:昇給額は6,430円(昇給率2.12%)

中小企業の平均昇給額
従業員数が300人以下:昇給額は4,785円(昇給率1.94%)
100~300人:昇給額は4,949円(昇給率1.97%)
100人未満:昇給額は4,288円(昇給率1.87%)

大企業の平均昇給率よりも中小企業の平均昇給率が低い傾向にあります。その原因として、企業規模が小さいことによる利益の上昇幅の小ささ、また景気の影響の受けやすさが挙げられます。企業規模が大きいほど利益余剰分のストックも大きく、また活発かつ強力な労働組合を持っているために昇給率が高くなると考えられます。

企業規模ごとの昇給率平均

昇給率とは、昇給前と比べて給与が何%上がったのか?を表す指標です。
日本経済団体連合会(2022)によれば、中小企業と大企業の昇給率の総平均は2%前後であると報告されています。

中小企業
1.92%
大企業
2.27%

参照:『2022年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)』日本経済団体連合会(2022)
参照:『2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)』日本経済団体連合会(2022)

昇給額の計算方法

昇給率とは、昇給後の給料が昇給前に比べどれほどの割合で上昇したかを示すものです。昇給率を計算することで自社の成長度を図ることができ、また職種ごとの昇給率や他社の昇給率と比較することが可能となります。

昇給率(%)=昇給後の給与÷昇給前の給与

例えば入社時の月給が20万円で、翌年は20万4000円だった場合は
204,000÷200,000=1.02
となり、昇給率は1.02%となります。

昇給制度の種類6選

昇給制度には大きく以下の6つの種類があります。それぞれについて詳しく解説します。
・定期昇給
・臨時昇給
・自動昇給
・考課昇給
・普通昇給
・特別昇給

定期昇給

1点目は定期昇給です。定期昇給とは、時期を決定して定期的に行われる昇給制度のことです。日本ではこの定期昇給制度が主流の昇給制度となっています。

年齢や勤続年数が高いほど賃金が高くなるため、年功序列賃金とも呼ばれています。一般的には、年に1〜2回昇給を行う企業が多いです。

臨時昇給

2点目は臨時昇給です。臨時昇給とは、時期を定めない昇給制度です。具体的には、企業の業績が好調な場合に行われる昇給などが該当します。

臨時昇給は定期昇給の対立概念として用いられることが多いです。会社の業績が上がり、全社員の給与が上がった場合は、臨時昇給ではなくベースアップとなる点は紛らわしいですが注意すべき点です。

自動昇給

3点目は自動昇給です。自動昇給とは、勤続年数や年齢に応じて自動的に給与が増加する昇給制度です。自動昇給は定期的に昇給する仕組みであるため、定期昇給の1種となります。

自動昇給のある会社では、将来自身の給与がどの程度になるのかを予測できます。また、勤続年数や年齢によって給与が決まるため、実際の業績やスキルは給与には反映されない点が特徴です。

考課昇給

4点目は考課昇給です。考課昇給とは、実績や勤務態度などの評価である考課を基準とした昇給制度です。

個人の実績を基に給与を定めるため、査定昇給とも呼ばれています。年齢や勤続年数が給与に反映されないため、いわゆる日本の年功序列型賃金とは対の概念ともいえます。

普通昇給

5点目は普通昇給です。普通昇給とは、技能や職務遂行能力、業務成績の向上など会社が規定した昇給要件を基に昇給可否を判断する制度です。

普通昇給は特別昇給の対概念として説明されることが多いです。

特別昇給

6点目は特別昇給です。特別昇給とは、特殊な職務や特別な功労に対して行われる昇給制度にことです。特別昇給は普通昇給の対概念として説明されることが多いです。

普通昇給が、一般的な職務や業績を対象とした評価である一方で、特別昇給は一般的ではない誰でも該当するわけではない特殊な事例を対象としているという点で異なります。

定期昇給制度4つの目的

昇給が何のために行われているのかよくわかっていない方のために、昇給の主な目的を4つ解説します。
・給与の公平性の担保
・社員のモチベーション維持
・社員の生活水準の維持
・企業経営の安定性の提示

給与の公平性の担保

1点目は、給与の公平性の担保です。一般的に昇給は、年齢や勤続年数の高さが、社員のスキルの高さと相関しているという前提の元で成り立っています。

年齢や勤続年数がスキルの高さと関係している場合、年齢や勤続年数が上がれば上がる程スキルが上昇し、企業への貢献度も高くなると考えられます。そのため、社員の評価の公平性を保つための一環として、昇給制度が設けられているのです。

社員のモチベーション維持

2点目は、社員のモチベーション維持です。昇給は年齢や勤続年数の高さが、社員のスキルの高さと相関しているという前提の元で成り立っています。

よって、年齢や勤続年数が長い社員ほど、会社への貢献度は高まるため、それだけ還元される給与も高く設定するべきと考えるのが妥当です。従業員としては、スキルアップの結果としてそれが給与という形で評価されることはモチベーションの向上に繋がります。

社員の生活水準の維持

3点目は、社員の生活水準の維持です。一般的に、年齢が20歳から50歳までの間では、年齢の高さと生活費の高さは相関関係にあります。年齢が上がるほど結婚や子育て、住宅購入などの出費が増加するからだと考えられます。

年齢が上がり出費が増える場合、その分給料も増加しなければ、生活が苦しくなります。よって、企業として労働者の生活水準を維持するためにも昇給制度は設けられているといえます。

企業経営の安定性の提示

4点目は、企業経営の安定性の提示です。日本の企業の場合、約70%程度の企業では、昇給制度を設けています。また、昇給は人件費の上昇に繋がるため、会社の費用の増加となります。そのため、昇給制度を設けていない企業は、人件費を削減しなければいけないほど業績の悪い企業であると認識される可能性があります。

業績の悪い企業であるとレッテルを張られることは、従業員や株主からの不安感を高めることに繋がります。よって、企業は経営の安定性の提示を目的として、昇給を行うのです。

定期昇給制度3つの問題点

日本で従来採用されてきた定期昇給制度は、年数を経れば確実に給与が上昇するために従業員の生活安定や企業側の管理のしやすさというメリットがあります。しかし一方で、最近では定期昇給のデメリットが指摘されています。

人件費の負担が大きい

1点目は人件費の負担が大きいことです。社員の勤務年数につれて自動的に給与が上昇するため、会社側の負担も年を経るごとに増加します。企業規模の拡大の際にも、社員の増加に応じて負担額が増加するため企業の成長の足かせとなる可能性があります。

また、日本企業では社員のリストラが厳しく規制されているため、業績の悪い社員かつ勤続年数/年齢が高い社員を切り捨てられないという問題もあります。

個人の成果に見合わない昇給

2点目は、個人の成果に見合わない昇給です。定期昇給制度では、成果の有無に関わらず、勤続年数が高ければ給料が上がります。そのため、成果を出していないが勤務年数の高い、年配の社員も昇給の対象となります。

給与額に見合わない業績の社員も昇給するため、会社側として理に合わない支出となります。

社員のモチベーションの低下

3点目は、社員のモチベーションの低下です。社員個人の業績の良否に関わらず、勤務年数に応じて昇給するため実力ある若手社員に取っては、評価が正当でないと感じる可能性があります。

正当な評価は、働きがいに影響を与える要素であるため、仕事への意欲を低下させる恐れがあります。社員がやりがいや成長を感じられず、スキルアップへの意欲を失えば会社全体の業績の低下にもつながりかねません。

定期昇給制度導入の注意点

定期昇給制度導入における注意点は、人件費増大という問題への対策です。定期昇給制度は、勤続年数が経てばたつほど、賃金が上昇する制度であるため、人件費負担が増加する点は注意すべきです。

実際、定期昇給制度による人件費の問題を回避するために、トヨタ自動車等では定期昇給制度の見直しが行われています。具体的には、
・昇給停止年齢の引き下げ
・成果昇給制度への変更

が対策内容として挙げられます。

昇給停止年齢の引き下げ

昇給が停止する年齢を引き下げることで、自動的な賃金上昇に歯止めをかけることができます。全国の平均停止年齢は48.9歳とされていますが、中規模企業では30代後半頃とされ企業規模によって傾向が異なります。定年退職を迎えるまで昇給が続く企業は、現代では17.6%と低い割合になっています。

成果昇給制度への移行

成果昇給制度とは、企業業績への貢献度に応じて賃金を決定する制度であり、勤務年数や年齢に関わらず、個人の実力や成果に応じて昇給します。定期昇給制度自体を廃止し、成果昇給制度へと移行する企業も増えてきています。

成果昇給制度では職務遂行や業務達成度に応じて賃金が決定されるため、定期昇給制度の課題を回避することができます。成果主義に基づいた人事評価としては、以下の制度が挙げられます。
・職務等級制度
・役割等級制度

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、
・昇給制度について理解が浅い
・他社の昇給制度の現状がわからない
・昇給制度の全体感が理解できていない

という方のために、「昇給制度とは何か」「昇給制度の種類6選」「昇給額/昇給率の平均」を解説しました。この記事を皆さんの参考にしていただければ幸いです。

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