BPOとは?意味や定義、メリット、デメリットをわかりやすく解説

近年、注目が集まっているBPOですが、業務効率化を図るためBPOを検討している企業様も多いのではないでしょうか。そこで、専門家による分析と洞察力を提供するメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp/)」から、BPOの正しい知識を得ましょう。

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BPO」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

BPOとは、業務プロセスを外部に委託することを指す言葉で、業務効率化を実施する上で欠かすことができません。自社の生産性向上を目指す際に活用してみるのも良いでしょう。

本記事では、BPOについてわかりやすく解説します。

  • 自社の課題は業務効率化
  • 自社では日々の業務の仕組み化が難しい部分がある
  • 特定のプロセスのせいで採算が取れない

上記のようにお考えの経営者の方はぜひご一読ください。

監修者情報

監修者用
プロジェクトHRソリューションズ代表取締役
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月プロジェクトHRソリューションズを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

BPOとは

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは業務プロセスの一部をまとめて専門業者に外部委託することです。

まずは、BPOについて詳しく理解するために、以下2つの切り口からBPOを解説します。

・BPOの意味、定義
・BPOの現状
それぞれ詳しく解説します。

BPOの意味、定義

BPOBusiness Process Outsourcing)とは、業務プロセスの一部を一括して外注することです。BPOを実施することで、コストの削減と業務の効率化を同時に行うことができます。

新型コロナウイルスの影響で、全ての業務を内製化しきれず、コスト削減のためにBPOを実施する企業も増加しています。

BPOの現状

BPOは少し前まではバックオフィスなど管理部門の業務を外注化して経費を削減するのが一般的でした。

しかし、近年は安価な労働力が望める海外でのBPOを活用することで、よりコストを削減するという動きが広まっています。

また、コスト削減という名目だけでなく、外部に委託した方が結果が出る場合に、そのプロセスを全て依頼する例も増えています。

例えば、企業が運営するオウンドメディアなどでは、外部委託をする方が結果が出せると踏んだ場合には、そのオウンドメディアの運営をBPOで委託するケースが散見されます。

BPOと誤解しやすいビジネス用語

BPOはその性質上「アウトソーシング」や「人材派遣」との違いがわかりづらいのが特徴です。

それぞれの違いを以下確認しましょう。

BPOとアウトソーシングの違い

BPOとアウトソーシングの違いは以下2点です。

・業務範囲
・業務時間

アウトソーシングの場合、業務内容を理解して実績を上げるという視点よりかは、依頼された業務のみを遂行するのが一般的です。

したがって、業務範囲は広くありません。

また、依頼された業務のみを終了させればそれで契約が終了となることが多いため、期間としても短い傾向があります。

例えば、エクセルのデータ入力のためのリソースが足りない場合にはアウトソーシングを利用します。

一方で、BPOの場合、業務プロセスを一括して他の企業に依頼します。先ほどの例でいえば、エクセルで入力していた作業の業務フロー自体を変更し、最適化を依頼する際にはBPOに当てはまります。

BPOと人材派遣の違い

BPOと人材派遣の違いは以下の2点です。

誰から指示を受けるか
報酬の発生

人材派遣の場合は、あくまでも人材派遣会社からの指示を受けます。つまり、派遣会社の直接の指揮権は人材派遣会社にあります

また、報酬も労働時間によって発生する仕組みです。

一方でBPOの場合は、指示を出すのはBPO依頼会社であり、報酬も依頼した内容が十分に達成された際に発生します。

したがって、BPOと人材派遣も全く違うものと認識しておきましょう。

BPOの具体的なサービス

BPOの具体的なサービスにはどういったものがあるのでしょうか?

以下具体例を4つ紹介します。

・販売代理店
・オウンドメディア代行サービス
・広告運用代行サービス
・バックオフィス

販売代理店

自社で魅力的な商品開発ができているものの、商品の販売が上手くいっていない際にはBPOで販売代理業を依頼することがあります。

BPOで営業代理店を外部委託すると、例えば以下のような業務に割いていたリソースを他にあてられます。

・販売リソースの不足
・代理店開拓
・問い合わせメール対応

もちろん、どこまでの業務を依頼するかは契約によりますが、販売機能を外部に依頼することで自社のコア業務にリソースを集中できるのです。

例えば、海外から日本に進出したシステム会社などは、販売機能を日本企業に外部委託することがあります。

オウンドメディア代行サービス

「自社の強いドメインを利用してオウンドメディアを立ち上げたいがノウハウも人手も足りていない」という場合、オウンドメディア代行サービスが利用できます。

オウンドメディア代行サービスを利用することで以下の問題が解決できます。

・ディレクターの雇用ができない
・Google Analyticsの数字が読めない
・収益を最大化するための仕組みがわからない
・そもそも何のジャンルで勝負すればいいかわからない
・オウンドメディア代行を依頼することで、代行に支払う費用よりも自社の収益が上がる可能性もあるため、相応の費用対効果が見込めます。

広告運用代行サービス

自社商品も営業部隊も揃っているが、デジタルマーケティングが弱いといった場合には広告運用代行サービスを利用できます。

広告運用代行サービスで以下の問題を解決できます。

・広告運用のノウハウがない
・マーケティング戦略の企画ができない
・ジャンルで勝負ができない
・広告運用代行サービスを利用することで、LTVの改善などが見込めます。

バックオフィス

バックオフィス業務の人手が足りない場合には、バックオフィス機能そのものをBPOで依頼できます。

・経理
・人事
・総務事務
・法務事務
・営業事務

バックオフィス機能を外部委託することで人件費の削減に繋がるなどの効果が期待できます。

BPOのメリット

BPOを実施することのメリットは以下3点です。

・コア事業への集中
・コストの削減
・業務効率化

それぞれのメリットをわかりやすく解説します。

コア事業への集中

まず期待できる効果がコア事業への集中です。BPOを実施することで、自社が得意とする業務に注力することができます

例えば自社が開発が得意なら開発業務以外をBPOで外部に依頼することで、今までよりもスピーディーな開発ができる可能性があります。

コストの削減

コストの削減もBPOの実施で期待されます。例えば、自社で経理業務のために人を雇っている場合、自社で全てを内製化するよりも、BPOを実施した方が安くなるケースがあります。

自社で全てを内製化した際にかかる人件費と、外部委託する際にかかる費用を天秤にかけたうえで、BPOをするか否かを判断するとよいでしょう。

業務効率化

最後に期待されるメリットは業務効率化です。どの企業であっても強みと弱みがあります。この際、弱みを改善するための施策を企業内で検討するよりかは、より強い企業に外部委託した方が業務の効率化に繋がるケースがあります。

BPOのデメリット

BPOのデメリットは以下3点です。

・自社でノウハウやナレッジを貯められない
・セキュリティリスクがある
・組織改革が多い企業では難しい

それぞれわかりやすく解説します。

自社でノウハウやナレッジを貯められない

BPOを実施した場合、ノウハウやナレッジを自社内に溜められません。したがって、結果が出るか出ないかは全て外部委託先のサジ加減になるため、外部委託先が十分な結果を出せない場合にはBPOをした意味がなくなってしまいます。

セキュリティリスクがある

自社が秘匿性の高いデータを扱っている際、BPOの検討は注意深く実施しなければなりません。BPOを実施することは、データを全てBPO先に委ねることを意味します。どれだけ入念に秘密保持契約を結んでいたとしても、情報漏洩による責任を問われるのは自社です。

したがって、セキュリティリスクが高い場合は外部委託をするのではなく、自社で業務を吸収した方がリスクは低いと言えます。

組織改革が多い企業では難しい

BPOでは業務プロセスを一括して外部に委託します。したがって、外部委託をした後は必然的に業務プロセスの見直し、変更が難しくなります。

自社でPDCAを回しながら組織改革を繰り返したい場合には、業務を外部委託することで柔軟な対応ができなくなることも多いため、BPOの判断は慎重に行わなければなりません。

BPOの判断基準

BPOを実施するか否か迷った際は以下の判断基準も押さえておくようにしましょう。

・コア業務は何かを検討する
・他社との優位性が何かを見極める
・自社販売のメリットがないか検討する

それぞれ詳しく解説をします。

自社のコア業務は何かを検討する

BPOの判断に迷った際はまず自社のコア業務が何かを検討するようにしましょう。多角化戦略を企業がとっている場合は特に、自社のコア業務が複数個存在しているはずです。

自社が気づいていないだけで、BPOを検討している業務は自社の強みの部分なのかもしれません。

したがって、一度事業全体を俯瞰し、自社にとってのコア業務とは何かを検討することが重要です。

他社との競争優位性が何かを見極める

自社が力を入れるべき事業・業務は何かを明確にするためには、他社との競争優位性が何かを見極めることも重要です。競争優位性とは、競合との差別化が図れている自社の強みを意味します。

ただし、「自社の競争優位性の根源が何かがわからない」といったケースも中にはあることでしょう。そうした際には、VRIO分析を実施するのがおすすめです。

・Value(経済価値)
・Rarity(希少性)
・Inimitability(模倣困難性)
・Organization(組織)

VRIO分析とは上記の頭文字からとった分析方法のことです。VRIO分析を実施して自社を多角的に見直すことで自社の競争優位性を洗い出すことができます。

自社販売のメリットがないか検討する

例えば営業機能の委託をBPOで検討する場合には、自社が販売をするメリットがないかを洗い出すことも大切です。

例えば、自社で販売をすることで以下のようなメリットが考えられます。

ブランディング向上が期待される
営業ノウハウを蓄積し、その後の商品開発に活かせる
柔軟なマーケティング施策が可能になる
BPOを実施することで、確かに企業への負担は減る可能性がありますが、上記のメリットも同時に消滅することになります。

したがって、自社で実施する際のメリットとBPOで生まれる時間や人員の余裕、どちらに価値があるかを今一度見直すことも大切です。

業者選びのポイント

BPOを依頼する際は業者選びで苦労することもあるかと思いますが、大切なのは以下3点です。

・適正価格か
・柔軟に対応できるか
・セキュリティは十分か

それぞれ詳しく解説します。

適正価格か

そのBPOが適切かどうかの最も大切な判断ポイントは価格です。

BPOの適正価格を判断する際は以下2つの切り口から価格を判断することが大切です。

・他社比較
・自社で採算が取れるか

BPOを検討する際は、他社比較を必ず実施します。特にはじめてBPOを実施する場合には相場がわからずに苦労しますが、あいみつを取ることで適正価格が見えてくるため、ここで相場について理解しておきましょう。

そして次に考えるべきは、自社での採算が取れるかどうかです。仮に経理機能のBPOを実施する場合には、自社で吸収した場合の人件費とBPOを実施した場合とで節約できるかどうかを確認しましょう。

もし採算が取れないのであれば、BPOを実施する必要はないと判断できます。

柔軟に対応できるか

次に気をつけるべきポイントはBPOを依頼する企業が依頼に対し柔軟に対応できるかです。どれほど入念にBPOを設計しても、例外や予想外のケースはあります。そうした際にBPOを依頼している会社が柔軟に対応できないと、自社機能も一時的に停止する可能性があります。

セキュリティは十分か

BPOを依頼する企業がセキュリティに留意しているかも注目しましょう。情報漏洩はBPOを依頼する際に潜む最も大きなリスクです。

仮に顧客情報などが流出してしまった場合、自社のみでなく顧客にも迷惑をかけることになります。自社への信頼度も下がるどころか、賠償金が発生する可能性もあるでしょう。

したがって、セキュリティに留意した上でBPO先を検討するのが重要です。

BPOの具体的な事例

BPOの具体的な事例は以下の通りです。

・医療機器メーカー
・建設会社
・ホテル運営会社

それぞれ詳しく解説します。

医療機器メーカー

ある医療機器メーカーでは、優れた技術を持っていたものの、営業担当が営業資料の準備や支払い業務に常に追われており、獲得したリストを営業に活かせていないという課題がありました。

この課題を解決するために、医療機器メーカーでは営業支援のためのBPOを実施しました。

業務の標準化には時間がかかったものの、BPO先で営業支援を全て吸収できるようになったため、医療機器メーカーでは営業の効率化ができ、顧客リストを使ったマーケティングが可能になりました。

結果、売上は向上し、営業担当たちの社員の満足度も向上する結果となりました。

建設会社

ある大手建設会社では、少子高齢化により市場環境が悪化していることに注目し、業務効率化のためのBPOを実施。

各グループ毎に異なる請求書や帳票の統一のためにバックオフィスを利用し、経費削減と業務効率化に努めました。

結果、BPO先との共同によりコストの削減にも成功し、バックオフィス業務は最大で20%ほど効率化ができました。そして、現在では更なるシステム化による経費削減に努めています。

ホテル運営会社

ホテル業界でもBPOは実施されています。

ある大手ホテル運営会社はM&Aを繰り返し成長を続けてきました。売上は右肩上がりで伸びていましたが、肝心な当期純利益は右肩下がりでした。

M&A後のシステム統合ができていなかったのが原因です。

特にその中で最もコストがかかっていたのが、各グループ毎に異なる給与管理システムを利用していたことです。日給の支払いのアルバイトなども雇用して業務を回していたため、自社での運営は困難だとホテル運営会社は判断し、BPOを実施しました。

BPO先が適切な業務フローを構築したことで全ての給与システムを統合、そして日払いにも対応できる業務フローが整えられました。

結果として、ホテル運営業者はBPO費用以上の金額を削減でき、コロナ禍でもなんとか営業を続けることができています。

このように、幅広い業種でBPOは実施されています。

BPOの今後

現在注目が集まっているBPOですが、BPO市場に関する調査によれば、BPOの市場は今後も拡大していくという調査結果が出ています。

新型コロナウイルスによる日本経済への影響は、BPO業界にもマイナス影響を及ぼしています。一方で、その影響よりも日本企業の業務効率化に対するDXの姿勢は止まらず、BPO取引通貨市場は今後も伸びるとの試算結果が出ています。

企業が扱うデータ量が増えるほど、データセンターなどのBPOが予測されるため、今後は特にIT分野を活用できるBPO企業に需要があると同調査では説明されています。

まとめ

本記事ではBPOの意味と具体例をわかりやすく解説しました。

少子高齢化が進み労働人口が減っていく中で、業務改善は喫緊の課題となっています。

「自社の問題は業務効率化」と考えている企業の経営者の方は、BPOを検討し、自社のコア事業に注力するのもひとつの手です。

この機会に自社の生産性と効率性を考えてみるのはいかがでしょうか。

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