採用の歩留まりとは?計算方法から具体的な原因・改善策まで紹介!

採用の歩留まりとは?計算方法から具体的な原因・改善策まで紹介!

採用において、どのくらいの割合の応募者が選考の各フェーズまで進んでいるかを把握し、コントロールすることは重要です。選考過程で応募者の離脱を防ぎ、内定者の辞退を減らすためにも、採用歩留まりの改善は必要不可欠です。

一方、採用歩留まりの低下に悩んだ経験があるご担当者様も多いのではないでしょうか。

  • 歩留まりを意識した採用改善策が打てていない
  • なんとなく数字目標を立ててしまっている
  • 採用の課題設定が上手にできていない

など、疑問や不安を感じられているご担当者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、採用の歩留まりの計算方法、低下しやすい項目やその改善策について解説していきます。

監修者情報

監修者用
株式会社uloqo
関川 懸介
アドテクノロジーベンダー、リクルートグループを経て、2016年4月株式会社uloqoを創業。採用企画・採用広報・ダイレクトリクルーティング・組織開発・人事評価制度策定などを通じて、大手からスタートアップまで幅広く累計300社以上を支援。詳しいプロフィールはこちら

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そもそも採用の歩留まりとは?

そもそも歩留りとは、製造業において投入した原料や素材の量に対して実際に得ることができた出来高の割合を指します。そしてその歩留まりを百分率で示した数値を歩留まり率と言います。
採用における歩留まりとは、採用における各選考に進んだ人数の割合を指します。

歩留まりの一般的な項目

採用の歩留まり項目は一般的に以下の通りです。歩留まりの項目数は、新卒採用や中途採用など選考フローによって異なります。そのため、当てはまる項目ごとに歩留まり率を計算し、自社の歩留まり率を把握しましょう。

  • エントリー
  • 説明会(セミナー)予約
  • 説明会参加
  • 書類選考
  • 筆記試験
  • 一次面接
  • 二次面接
  • 三次(最終)面接
  • 内定出し
  • 内定承諾
  • 入社

このように各項目における歩留まり率を把握することで、自社の応募者の状況やどのタイミングで歩留まりが低下しているのかといった採用の課題が見えてきます。

歩留まりの計算方法

実際に歩留まり率を求める式は以下の通りです。

「歩留まり率」=「選考通過数」÷「選考対象数」×100

例えば、内定承諾数5人で内定数が10人だった場合の入社の歩留まり率は、「実際に入社した人数(5人)」÷「内定を出した人数(10人)」×100=歩留まり率(50%)となります。すべての選考過程において、歩留まり率をコントロールできていれば採用に成功していると言えます。

歩留まり率の平均は就職白書(Recruit2023)によれば、5割程度となっているので自社の歩留まり率と比較して参考にしてみてください。

歩留まりを把握する3つのメリット

歩留まりの数値をきちんと把握しておくことで、採用活動に対して具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、以下の3つに焦点を当てて紹介いたします。
歩留まりを把握する3つのメリット

採用フローのボトルネックを明確にできる

各採用フローにおける歩留まりを算出・把握することで、候補者がどの段階で離脱しているか、また内定に至るまでのプロセスでどこが課題となっているかを数値で示すことが可能です。

目標の採用人数を確保できず、採用活動が上手くいかなかった企業の中には、具体的な課題を認識できないまま、次の採用活動に進んでしまうケースもあるかもしれません。

歩留まりの数値を正確に把握することで、自社の採用課題を明確にし、次回の採用活動の成功につなげることができます。

採用活動の品質向上に繋がる

歩留まり率が悪い項目が明確にわかることで、次にすべき対策が明確になり、採用活動全体の品質向上に繋げることができます。

例えば、

  • 書類選考歩留まりが低い場合、書類回収におけるコミュニケーションを改善したほうがよいかもしれません。
  • 一次面接設定歩留まり率が低い場合、面接で他社選考状況を事前に把握し、候補者の負担にならないご案内方法を考えたほうがよいかもしれません。

内定承諾歩留まり率が低い場合、面接の終話方法を惹きつけに寄せた内容にすべきかもしれません。

このように、歩留まり率が悪い項目がわかることで、次に取る対策や採用活動全体でコミュニケーションの方法を変更したりするためのヒントが見つかります。

採用活動全体の評価ができる

昨年の実績や、競合他社との歩留まり率の比較が数値を持ってできることで、現時点での自社の採用活動全体を評価することが可能になります。

昨年と比べてなんとなくいい、なんとなく悪いのような感覚で判断することなく、ここの数字が高いから良い、低いから悪いと根拠を持って評価することができ、現場の方や会社役員の方への説得材料にもなり得ます。

またどのような施策を打ったからここの数字が伸びたなど、振り返りの際にも役に立つでしょう。

歩留まり率が低下しやすい5つのフェーズ

で紹介したように、歩留まりとしての項目は一般的に8~10個挙げられます。
その中でも特に歩留まり率が低下しやすいフェーズが主に5つ挙げられます。

  • エントリーから会社説明会
  • 書類選考・筆記試験から一次面接
  • 面接設定から面接
  • 内定出しから内定承諾
  • 内定承諾から入社

それぞれの特徴と留意点をご紹介いたします。

エントリーから会社説明会

選考フローの最初にあるエントリーから会社説明会への段階で歩留まり率は大きく低下します。気になる企業に手当たり次第応募する人や軽い気持ちで応募する人もいるため、エントリー数が多くても会社説明会の参加者は少ないというケースも多々あります。

そこで、少しでも興味や関心を持ってエントリーしてくれた応募者を取り逃さないために、エントリーからの時間を空けずに説明会を行うことが大切です。

書類選考・筆記試験から一次面接

一般的に、書類選考や筆記試験で応募者の足切りをするため、このタイミングで歩留まり率が低下しやすいです。企業が意図的に絞り込んでいるため、歩留まり率をあえて改善する必要はないフェーズと言えるでしょう。

一方で、候補者も選考試験の案内が来たタイミングで企業の選考に進むかどうかを判断することが多いです。企業にとっても面接実施前は応募者の絞り込みを行うタイミングですが、この時点で応募者が少ない場合はそもそもアプローチ先や採用方法自体を見直す必要があると考えられます。

面接設定から面接

一次・二次などの段階を問わず、面接設定から面接実施までは歩留まり率が低下しやすいです。書類選考や筆記試験と異なり、応募者に直接来社してもらうため、応募者の心理的ハードルも高くなります。

また、他社の内定を承諾された場合、応募者を囲い込むことは難しくなります。つまり、他社の内定出しの時期と重なれば、辞退者が一気に増えてしまう危険性もあります。そのため、競合他社の採用状況などをよく把握し、場合によっては採用スケジュールの見直しも必要になってきます。

内定出しから内定承諾

内定出しから内定承諾段階で歩留まり率が低下している場合、他社と比較して入社するメリットや魅力を感じてもらえなかった可能性が高く、採用競合に負けていると考えられます。

採用候補者が自社に入社するメリットを感じられず辞退する場合、候補者に自社の魅力付けができていない可能性が高いです。この場合、採用フローで伝えているメッセージ自体を見直したり、アプローチの仕方を変えたりする必要があります。また、面接官の言動によって辞退される場合、面接官の教育を行うことが重要になるでしょう。

内定承諾から入社

内定承諾から入社までの歩留まりが悪い場合も同様です。内定辞退が生じる詳しい原因や内定承諾後のフォローについては以下の記事を参考にしてみてください。

■内定辞退の具体的な防止方法に関しては、下記記事をご覧ください。
内定辞退を防止する2つの方法とは?辞退が起こる理由や企業事例もご紹介!

歩留まりを改善するための5つの方法

ここでは採用歩留まり率が低い場合の改善策について説明します。

  • 迅速な対応と日程調整
  • 選考期間の短縮
  • 動機形成方法の見直し
  • 面接官の教育
  • 母集団形成

それぞれご紹介いたします。

迅速な対応と日程調整

予約確認電話や面接日程調整など、対応の速さで大きく歩留まりが変わることも多いです。採用したい候補者を競合他社に行かせないためにも、こまめな連絡を早めに取ることが重要です。競合他社に出遅れてしまっては、候補者の選択肢を増やしてしまいます。

応募があった際は24時間以内に返答したり、面接の1〜2日前にリマインド連絡を行ったりするなど、連絡・日程調整は迅速に行いましょう。

選考期間の短縮

競合他社の選考期間と重ならないように選考スケジュールを早め、選考フローにかかる期間を短縮することも重要です。選考期間が長く内定出しが遅くなると、他企業で採用が決まった候補者が選考辞退する可能性も大いにあります。

新卒採用なら1カ月以内に、中途採用の場合は2〜3週間以内に収めるといいでしょう。

動機形成方法の見直し

内定辞退を防ぐために、採用候補者への動機付けは欠かせません。特に、候補者と直接やり取りをする座談会や面接などにおいて動機付けを行うことは非常に重要です。具体的には、業務を通して得られるスキルや、描けるキャリアパスなど、候補者にあった魅力を提示する必要があります。

また、どの段階にどこまでの動機形成を行えば歩留まり率を改善できるか、過去に入社してくれた人へのヒアリングを通して明らかにしましょう。

面接官の教育

面接官は、応募者にとって企業の顔です。特に、面接における会社の雰囲気や面接官の印象は、その後の入社意欲に大きく影響します。そのため、応募者に安心感や好印象を与えられるような対応や、動機形成につながるコミュニケーションを教育しておくことが大切です。

■面接官の教育方法に関しては、下記記事をご覧ください。
【事例付】面接官トレーニングの目的と方法4選!メリットやポイントを解説

母集団形成

母集団形成とは、自社の求人に興味を示している候補者を集めることです。言いかえると「自社求人に応募してくれそうな人」を集めることを言います。しかし、エントリー数を重視してただ闇雲に候補者を集めれば良いというものではなく、自社のターゲットとなる人材を集めることが重要となります。質と量の両方で最適な母集団を形成することで、成功率の高い効果的な採用活動を実現できます。

まとめ

いかがでしたか。どの項目で歩留まり率が低下しているかを把握し、課題に合わせた改善策を実施することで、採用機会の損失を防ぐことができます。本記事を参考に、採用の歩留まりの改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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