職業能力評価基準とは?レベル区分からカスタマイズ方法、サンプル例まで紹介!

職業能力評価基準とは?レベル区分からカスタマイズ方法、サンプル例まで紹介!

こんにちは。digireka!HR編集部です。企業における人材育成システムやマニュアルを構築するのには様々なノウハウと知識が必要です。そこで厚生労働省が公開している職業能力評価基準を核としたシステムの構築をしてみてはいかがでしょうか。今回は企業の様々な活動の手助けとなる職業能力評価基準についてご紹介します。

職業能力評価基準とは

職業能力評価基準は厚生労働省が定める仕事において必要な「知識」、「技能」、「職務遂行能力」を細分化された職務別にまとめたものです。これは日本における公的な職業能力の評価制度の中心でもあります。仕事の内容を細分化し、成果につながる行動例や体系化された知識を紹介します。

職業能力評価基準の構成

職業能力評価基準では、仕事の内容を「職種」→「職務」→「能力ユニット」→「能力細目」という単位で細分化します。それぞれ説明すると、
・職種
仕事の内容や性質が似通っている「職務」が集まってできるもの。(店舗運営 商品開発など)
・職務
仕事として各社員がそれぞれ取り組むべき業務。(イベントの企画 在庫の確認など)
・能力ユニット
仕事を効果的、効率的に遂行するために必要な職業能力をまとめたもの。基本的に複数の「能力細目」により構成される。能力ユニットには「職種」に共通して求められる共通能力ユニットと各「職務」の遂行のために固有に求められる選択能力ユニットの2種類がある。
・能力細目
「能力ユニット」が更に細分化されたものであり、作業単位に必要な能力を示す。

職業能力評価基準の4段階のレベル区分

職業能力評価基準では、各能力ユニットごとに企業において期待される責任・役割の範囲と難易度により4つのレベル別の能力水準が設定されています。

レベル1

担当者として、上司のアドバイスを踏まえて定例的業務を確実に遂行するために必要な能力水準。現場の担当者などのための水準。

レベル2

グループやチームの中心メンバーとして創意工夫を凝らして主体的な判断、改善、提案を行いながら、業務を遂行するために必要な能力水準。係長や主任などのための水準。

レベル3

中小規模の組織の責任者として、上位方針を踏まえて管理運営、計画作成を行い、企業利益を創出する業務を遂行するために必要な能力水準。課長やマネージャーのための水準。

ベル4

大規模組織の責任者として、統合的な意思決定を行い、企業利益を先導・創造する業務を遂行するために必要な能力水準。 部長や本部長などのための水準。

キャリアマップ

キャリアマップは職業能力評価基準で設定されているレベルをもとに、各業種の代表的な職種における能力開発の標準的な道筋を示したものです。ここでは、キャリアへの道筋と各レベルの習熟の目安となる標準年数が一目で分かります。

職業能力評価シート

職業能力評価シートは各業種の各レベルに求められる水準を把握し、社員がどの程度の習熟度にあるかを評価することができます。基準の概要のみを記載した評価シート(本体)と具体的に求められる知識や能力水準を記載したサブツールが存在します。

これは事務系の職種をはじめ主要15業種に対応した評価シートが作成されており、自社の業種に対応した評価シートがあるかどうか探す必要があります。

職業能力評価基準を活用できる業務

人材育成・能力開発

企業内での人材育成制度の整備や従業員の能力開発に活用することができます。キャリアマップにより企業は従業員のキャリアの歩み方を提示します。そして職業能力評価シートにより従業員の能力を客観的に判断し、レベルに応じた教育制度を整備することができます

人事評価

職業能力評価基準を企業内での人事制度、評価制度の見直しに活用することができます。成果につなげるための能力細目をどれだけ達成しているかという観点で評価することが可能です。

採用

社内の人材ニーズを把握することができ、人材戦略に活用することができます。また、ジョブカード制度を利用する際に職業能力評価基準を活用することができます。

職業能力評価基準を実際に活用するためのカスタマイズ方法

職業能力評価基準は幅広い企業で利用できるように作成されており、そのまま利用することも可能ですが、自社に合わせてカスタマイズすることでより効果的に活用することができます。

カスタマイズの手順として、

1.目的を明らかにする

自社にとって必要なこと、経営課題を発見し、整理することで何のために職業能力評価基準を使用するのかを明らかにします。

2.自社に通用する職業能力評価基準にアレンジ

職業能力評価基準が漠然としすぎていないか、逆に細かすぎないか、不足していたり、不必要な記載がないかなどを判断します。不必要なものを削除し、必要なものを追加し、組み替えることで自社なりの評価基準にアレンジします。

3.レベル設定をする

例えば、一つの基準を経験年次ごとに段階的にレベルアップさせるような表示にすることで、評価をわかりやすく納得しやすいものに変えていきます。

4.現場の意見を取り入れる

一部から試行していき、評価基準の使い勝手などについて事前にヒアリングを行い、修正します。現場の意見を取り入れて改良していくことで納得度の高い評価基準になります。

というようなことが必要になります。職業能力評価基準を核とすることで一から基準を設定するよりも簡単に効果的な基準を設定できます。

職業能力評価基準のサンプル(在宅介護業)

職業能力評価基準の実際の例を見ていくために「在宅介護業」をサンプルとして取り上げます。介護サービスの担い手となる人材を十分に確保するだけでなく、これらの職員の意欲と能力を高め、定着・育成を図ることを目的として作成されました。

レベル区分

この職種ではレベルが初級、中級、上級、スーパーバイザーとして分かれており、それぞれのレベル区分での考え方が明記されています。

サブツール

活用ツールとして「人材要件確認票」「キャリアマップ」「職業能力評価シート」「導入・活用マニュアル」が記載されています。

共通能力ユニット

共通能力ユニットには以下の4点が記載されています。
・職業倫理とコンプライアンス
・チームワークとコミュニケーション
・目標管理
・利用者の安全衛生の確保、トラブルの未然防止
これらもそれぞれレベル別に求められる能力について記載しています。

選択能力ユニット

在宅介護業は4つの職務に分けられそれぞれに能力評価ユニットが存在します。
・介護サービス事業管理(本部)
・介護サービス事業管理(事業所)
・訪問介護サービス
・通所介護サービス
・訪問入浴サービス
例えば、通所介護サービスには「送迎」や「認知症ケア」というような能力ユニットがあります。

能力細目

通所介護サービスの「送迎」という能力ユニットの中の能力細目を紹介します。ここでは「車両運行」と「添乗」という能力細目があります。それぞれに職務遂行のための基準があり、必要な知識等も記載されています。例えば「車両運行」においては「送迎を行う利用者、ルート、乗降場所等送迎に必要な事項を確実に確認している」という基準が設定されています。

参照:厚生労働省 職業能力評価基準について 25_在宅介護業 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は会社の様々な活動の手助けになる職業能力評価基準について紹介させていただきました。職種別に業務に必要な知識、能力を具体的に解説している職業評価基準は人事育成システムの構築時や人事評価制度の構築時に非常に有用なツールであるため活用してみてはいかかでしょうか。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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