仕事と育児の両立支援のために企業がすべき3つのこと!現状や成功事例も含めてご紹介!

仕事と育児の両立を支援する為に企業は何をすればいいのか?

働き方改革」の一環として女性の活躍が推進されている一方で、出産・育児退職者は依然として減っていません。この現状を解消するために企業は、女性が働き続けられる制度や福利厚生が整った職場環境を用意する必要があります。

そこで今回は、仕事と育児の両立を支援する為に企業ができることを考察しました。出産・育児退職でお悩みの人事担当者様は是非、参考にしてみてください。

データで見る女性労働者の現状

(1)実は増えている!女性労働者の割合

2018年から本格的に動き始めた「働き方改革」に伴い、女性の活躍は今とても推進されています。

厚生労働省が発表した「労働力調査」によると、労働者人口総数に対する女性労働者の割合は年々増加しています。少子化及び人口減少社会が問題とされている中、平成30年度の女性労働力人口は前年に比べ77万人と大幅に増加しています。また、同年度の女性労働者の割合は44.1%と、過去最高を更新しました。

平成30年版働く女性の実情
参照:) 「平成30年版働く女性の実情」厚生労働省

これらの数字を見ると、女性がビジネスシーンで活躍する機会が増加していることが分かります。しかし、その反面、新たな問題が発生しています。それは、出産・育児退職者の増加です。

データで見る出産・育児退職者の現状

(1)出産後の就業継続率は減る一方

厚生労働省が発表した「出生動向基本調査」によると、出産前の女性有職者自体は20年前と比べ大幅に増加しているものの、出産退職率も共に増加していることがわかります。また、就業継続をしている人の大半は育休を利用していることがわかります。

働く女性に関する対策の概況
参照:) 「働く女性に関する対策の概況」厚生労働省

これらの数字から読み取れることは、出産前後に何かしらの理由で離職をしてしまっている人が多いことと、「産休」及び「育休」の需要性がとても高いということです。よって、企業は、20年前と比べて就業継続率がさほど変わっていないのはなぜかを理解し、増加の傾向にある女性労働者を減らさないようにする必要があります。

(2)労働者の約半分は就業継続意欲がある!

現状として、出産退職者が増えてしまっていますが、そもそも女性労働者は出産後の就業継続意欲はあるのでしょうか。厚生労働省が発表したアンケート調査によると、回答した労働者の約40%は、「出産した後も続ける」と答えています。

働く女性に関する対策の概況
参照:) 「働く女性に関する対策の概況」厚生労働省

この結果から読み取れるのは、出産前の労働者は高い就業継続意欲があるということです。

(3)しかし実際には、出産後に離職してしまう

次に、実際の出産後の就業継続率についてのデータを見てみましょう。厚生労働省が発表したアンケート調査によると、出産前には「就業継続意欲がある」と回答した労働者も、実際の出産後には離職をしている労働者が多いことがわかります。

また、出産前に「考えていない」と回答した労働者の半分以上は実際の出産後に離職をしていることがわかります。

働く女性に関する対策の概況
参照:) 「働く女性に関する対策の概況」厚生労働省

この結果から読み取れることは、出産前の就業継続意欲の有無に関わらず、実際の出産後には離職をしてしまう傾向が現状としてあるということです。

(4)退職理由は企業にあり?

では、なぜ出産前には就業継続意欲があった労働者も実際の出産後には離職をしてしまうのか、データでみてみましょう。

厚生労働省のアンケート調査によると、自発的な離職を除き、妊娠・出産時の退職理由として最も多かったのが、「就業時間や勤務時間への不満」です。産休や育休制度を使用しても、復帰後の勤務時間や業務内容の不都合などを理由に、退職してしまう労働者が多いということです。

また、「勤務先の両立支援制度が不十分」など、企業の育休・産休に関する制度や、育児と仕事の両立支援への意識の不十分さが、出産・育児離職者の主な原因となってしまっています。

働く女性に関する対策の概況
参照:) 「働く女性に関する対策の概況」厚生労働省

この問題を解消するためにも、企業は育児と仕事の両立を望む女性労働者の悩みを理解し、育児中でも安心して働き続けられるように支援する必要があります。

妊娠、出産した従業員が利用できる制度

企業が従業員に十分な育児支援をするためには、従業員が妊娠や出産するために利用できる国からの手当を理解することが重要です。
本章では国からの手当を細かく説明します。

休業制度

従業員は、妊娠、出産直後は「産前、産後休業(産休)」、育児期間中は
育児休業(育休)」を取得することができます。日本の休業制度は「労働基準法」「育児・介護休業法」の法律を基に定められているため、企業の就業規則になくても、それを承諾しなくてはならず、休業が理由で従業員を解雇することは禁止されています。

産前休業

出産予定日の6週間前、双子以上の場合は14週間以上前から取得することのできる休業制度です。

産後休業

出産してから8週間は原則として働いてはいけないため、その休業期間に設けられている制度です。しかし本人が医師へ訴求し、許可が認められた場合に限り、仕事に戻ることが可能です。会社側も出産後6週間以内に従業員を働かせることは法律上禁止とされています。

育児休業

原則としては、申請すれば育児が1歳になるまで取得できる休業制度で、男性、女性問わず取得することができます。しかし、産休と違って以下のような取得要件があります。

・原則として取得期間は1歳まで。
しかし、保育園などの施設が見つからない場合は最長で2歳まで、母と父が同時に取得すれば、1歳2ヶ月まで取得期間を延長できる。
・原則としては育児1人に対して一回しか休業を取れない。
しかし男性(父親)は出生後8週間以内に育休を取得した場合はもう1度だけ、育休を取得することができる。

お金の支援制度

出産手当金

出産42日以前から産後56日までの間に会社を休んだ場合は、健康保険から給料の3分の2までの手当金を受けられます。

育児休業給付

原則として育休休業を取得している期間であれば、賃金の約50%を雇用保険から受け取ることができます。さらに手続きをして取得期限が1歳から延長されても給付金の対象となります。

社会保険料の免除

産休中、育休中は被保険者、また企業負担分の社会保険料は免除になります。

社会保険の特例

育休終了後、時短勤務などで給与が低くなった場合は社会保険料の算出で必要な標準月間報酬を育休を取得した後の金額に変更することができます。社会保険料が下がることで従業員、企業の負担を軽減することができます。

年金計算の特例

3歳未満の育児を養育する人の給与水準が子供が生まれる前に比べて下がった場合は、以前の給与(高かったとき)の基準で年金額が計算されます。

労働時間を短くできる制度

育児時間

子供が1歳になる前に女性(母親)が復職した場合は、勤務時間中に2回(1回30分)の育児時間を取得することが労働基準法で定められます。
この時間を利用して女性は子供の保育園の送迎を行うことができます。

母性健康管理措置

出産後の1年間は医師からの指示、指導を受けた場合は健康診査を就業時間中に受けたり、必要な措置を会社が施したりすることが義務付けられています。

短時間勤務制度

3歳以下の子供を育てる従業員からの訴求があった際は、原則として1日6時間の短時間制度を設ける必要があります。

所定外労働の禁止

3歳以下の子供を育てている従業員に対しては残業(所定外労働)が禁止されています。

時間外労働・深夜業の禁止

小学校入学前の子どもを育てる従業員からの訴求があったときは1ヶ月24時間以上、1年で150時間を超える時間外労務は禁止されています。また深夜帯(22:00〜翌日の5:00まで)の労務も禁止されています。

子供が病気や怪我をした場合に受けられる制度手当

看護育休

小学校入学前の子どもを育てている従業員から請求された場合は、有給休暇以外に1年間で5日間、病気や怪我、または感染症などの予防接種の際に休暇を与えることが義務付けられています。また、看護休暇は1時間単位での取得が可能となっています。

参考記事:子育てと仕事の両立! 最新事例と支援制度を紹介

企業が仕事と育児の両立を支援する為にできること

育児と仕事の両立を支援する為に企業ができることはいくつかあります。

(1)「産休」「育休」制度の導入及び取得の推進

「産前産後休業」や「育児休業」を利用すると、最大で産前6週間前から子が2歳になるまで休業をすることができます。出産後に就業継続をしている女性労働者の多くは、これらの制度を利用していることがわかります。

しかし、厚生労働省が発表した調査によると、現在の育休取得者は女性で86.7%、男性で8.2%と、取得できていない労働者も多く存在していることがわかります。また、利用していなくても利用を希望していたり、そもそも制度がなかったりと、まだまだ利用できていない人が多いことがわかります。


参照:) 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業厚生労働省

就業継続率を上げる為にも、企業は産休・育休制度を導入し、希望者が取得しやすい環境を作ることが大切となります。

(2)柔軟な働き方を可能にする制度の導入

妊娠・出産後の離職の理由として第一にあげられるのが、就業時間及び勤務時間への不満です。この問題を解消するために企業は、より労働者の都合にあった労働時間や柔軟な働き方を提示することができます。

❍1日・1週あたりの所得労働時間及び日数の削減


参照:) 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業厚生労働省

上記の図を見ると、就業時間の短縮を希望する労働者は男性女性どちらも多いことがわかります。


参照:) 労働政策研究・研修機構 仕事と家庭の両立支援にかかわる調査

又、上記の図では、労働時間が短いほど、「就業継続意欲がある」と答えた労働者が多いことがわかります。

❍「フレックスタイム制」の導入

「フレックスタイム制」とは、従業員が日々の始業・終業時刻を自身で決定して働くことができる制度です。この制度は、個人が時間配分を行えるので、就業継続就業率を上げると共に、残業の軽減や業務効率の上昇などのメリットがあります。

❍所定外労働の免除


参照:) 厚生労働省 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業

就業時間の短縮を希望する労働者と同様に、所定外労働の免除を希望する労働者は男性も女性も約20%と、多いことがわかります。育児と仕事をするにあたり、所定時間を超える労働は重い負担になってしまっているということです。

(3)働きやすい職場環境の用意

妊娠・出産離職の理由として次に大きくあげられるのが、職場での不利益取り扱いや、妊娠・出産等に関するハラスメントです。下のグラフを見ると、これらに関する相談件数は全体の28%を占めていることがわかります。


参照:) 「厚生労働省 都道府県労働局雇用鑑賞・均等部(室)での法施行状況

この問題を解消するために企業は、妊娠・出産に関するハラスメントの防止を強化し、育児と仕事を両立したい労働者がより働きやすい環境でいれるように努力する必要があります。


❍全従業員の妊娠・出産・育児への理解を深める
❍産休・育休制度の利用について快く受け入れる
❍育休利用後の労働者への配慮
❍業務内容の変更(重労働を避ける)
❍企業内で、相談室や相談担当を配置する

柔軟な働き方を推進する制度を導入した企業の成功事例

(1)サイボウズ株式会社の事例

サイボウズ株式会社には、柔軟な働き方を支援する「ウルトラワーク」という人事制度があります。

育児や介護などに限らず、理由を問わず利用ができ、時間・場所・働き方を単発で選択できます。この取り組みにより、サイボウズ株式会社内での従業員は年々増加し、離職率が28%から5%以下ヘとすることができたそうです。


参照:) 「サイボウズ株式会社 ワークスタイル」

(2)味の素株式会社の事例

味の素株式会社には、柔軟な働き方を支援する「どこでもオフィス」という制度があります。この制度は、自宅やサテライトオフィス等の通常とは異なる場所で勤務ができる制度で、女性に限らず男性も利用可能となっています。

この取り組みにより、味の素株式会社では時間外労働時間が10%削減できて、生産性も上がっているそうです。


参照:) 味の素株式会社 人事・労務データ」

(3)アサヒビール株式会社の事例

アサヒビール株式会社には、多様な人材が柔軟に働ける為の制度が沢山導入されていて、その効果は実績として現れています。

アサヒビール株式会社が導入している制度の例として、柔軟に勤務時間を設定できる「スーパーフレックスタイム」や中学就学前の子がいる労働者が最大20日間の特別休暇を取得できる「子育て休暇制度」などがあります。これらの取り組みを行い、アサヒビール株式会社は育児休業からの復職率をほぼ100%へと上げ、離職率も平均1%未満までに抑えることを可能にしています。


参照:) 「アサヒビール株式会社 ダイバーシティ」

まとめ

「働き方改革」に伴い、女性の活躍が推進され、女性の総労働者数は年々増加している傾向にあります。しかし、現状として出産・育児離職者は依然として減っておらず、その理由として多くあげられているのが、企業側の認知不足や不利益取り扱いです。

少子化及び人口減少社会の問題もある中、育児と仕事の両立を支援することは、労働者の継続就業率をあげると共に少子化対策にもなるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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