リファラル採用は、従業員からの推薦で人材を採用する手法として注目されていますが、成功させるにはいくつかの課題が伴います。
業務適性や企業文化への適合性が評価されないとミスマッチが発生しやすく、社員の期待感やバイアスがリスクを生むこともあります。
そこで本記事では、以下の内容について解説していきます。
- リファラル採用の難しさや失敗例
- 成功につなげるためのポイント
- 具体的な成功事例
リファラル採用の失敗例や課題
リファラル採用の失敗例や課題について解説します。主に5つあります。
- 業務適性の評価不足
- 企業文化への適合性の確認不足
- 人材多様性の欠如
- 評価基準が不透明
- 社員からの不適切な期待感
業務適性の評価不足
リファラル採用では、紹介者の意見を重視するあまり、候補者の適性評価が不十分になる場合があります。
推薦者の信頼に基づいて採用を進めると、候補者のスキルや職務経験が職務要件と合致していない場合に気づかないことがあります。結果的に、入社後にミスマッチが発生し、早期退職につながるリスクが高まります。
企業文化への適合性の確認不足
リファラル採用は、職場の人間関係や文化との適合性を確認する良い機会ですが、紹介者の偏った評価により、文化への適合性が誤って評価されることもあります。
とりわけ友人など親しい人を推薦する場合、客観性を欠くことがあり、社風にそぐわない人材が採用されるリスクが生じます。このような採用が増えると、組織全体の風土に悪影響が及ぶ可能性があります。
人材多様性の欠如
リファラル採用は、紹介者の人脈に依存するため、同じ価値観や似たような経歴を持つ候補者が集まりやすく、候補者が限定された属性やバックグラウンドに偏ることが少なくありません。結果として組織全体の多様性が欠如する恐れがあります。
これは、新しいアイディアや視点が生まれにくくなる要因となり、組織の成長を阻害する可能性もあります。
評価基準が不透明
紹介者の推薦や評価が重視されるリファラル採用では、採用プロセスが不透明になりがちです。とりわけ推薦者と採用担当者の間で評価基準が曖昧になると、候補者間の公平性が損なわれる恐れがあります。
評価基準が不透明だと、既存の社員からの信頼を失う原因にもなり、社内のモチベーションに悪影響が及ぶ場合もあります。
社員からの不適切な期待感
紹介者が候補者に対して過剰な期待や暗黙の了解を抱くケースが多くあります。とりわけ業務スキル以外で「自分の仲間が増える」といった意識が働くと、業務外のプレッシャーや人間関係のトラブルが発生しやすくなります。
このようなケースは、候補者が持ち味を発揮する前に職場で不安を感じる原因となり、離職率の増加につながる可能性があります。
リファラル採用が難しい5つの理由
リファラル採用が難しくなっている原因は何でしょうか?主な理由は5つあります。
- 推薦者の紹介意欲や動機が安定しないから
- リファラル採用の効果を測定していないから
- 採用したい人物像が曖昧だから
- バイアスが生じやすいから
- リファラル候補者へのフォロー体制が整っていないから
推薦者の紹介意欲や動機が安定しないから
リファラル採用の成功には、社員が積極的に候補者を紹介する意欲が不可欠です。しかし、推薦することに対するインセンティブが低かったり、動機が曖昧な場合、推薦者が形式的に候補者を紹介するだけで、本当に適任な人材を探すことに注力しない傾向があります。
また、リファラル採用での採用が失敗すると、推薦者が責任を感じたり、推薦意欲が低下する可能性があります。こうした不安や心理的な負担があると、次の推薦活動に支障が出てしまいます。
リファラル採用の効果を測定していないから
リファラル採用は、他の採用手法と比べてどの程度効果があるのかを測定することが重要です。特に、リファラル採用での採用者の定着率や成果が他の手法と比べて高いのかを定量的に把握していないと、改善点が見えづらくなります。
例えば、リファラル採用で入社した社員の定着率やパフォーマンスが他の採用手法に比べて低い場合、改善の必要があることがわかりますが、こうしたデータを収集していないと、何が問題で何を改善すべきかがわからないままとなります。
採用したい人物像が曖昧だから
リファラル採用で失敗するもう一つの原因は、採用したい人物像が明確に定まっていないことです。具体的なスキルや経験、文化適合性に関する基準が曖昧なまま進めると、推薦者が主観で「良いと思う人」を推薦することになります。
この場合、組織のニーズと候補者のスキルセットや特性が一致せず、採用後にミスマッチが発生する可能性が高まります。例えば、プロジェクトのリーダーを求めている場合でも、コミュニケーションスキルが不足している候補者が推薦されると、入社後の適応が難しく、パフォーマンスが低下する恐れがあります。
バイアスが生じやすいから
リファラル採用では、推薦者と候補者が個人的な関係にあることが多いため、候補者の評価が過大または過小に偏る「バイアス」が生じやすくなります。
例えば、推薦者が親しい友人を候補者として推薦した場合、候補者のスキルや文化適合性が実際の能力よりも高く評価されやすくなります。逆に、推薦者が候補者と過去に意見の対立があった場合、その候補者の能力が過小評価されることもあります。
こうしたバイアスが採用プロセスに影響を及ぼすと、客観的な判断が難しくなり、結果として適切でない人材が採用される可能性が高まります。
リファラル候補者へのフォロー体制が整っていないから
リファラル採用では、候補者が既存社員の推薦を受けて入社することが多いため、特別なフォローが必要です。しかし、フォロー体制が整っていないと、候補者が紹介者の存在に頼りすぎ、組織に馴染む前に退職してしまうリスクが高まります。
例えば、入社初期に上司や同僚との関係構築がスムーズに進まず、期待した成果を出せないまま、職場への適応に失敗するケースがあります。フォローが不十分だと、リファラル採用で採用した人材が定着しない原因になります。
リファラル採用を成功させるための4つの打ち手
リファラル採用を成功させるための打ち手を紹介します。主に4つあります。
- リファラル候補者へのフォロー体制を整備する
- 採用基準と人物像を明確にする
- リファラル採用におけるインセンティブを強化する
- 採用の成果を定量的に分析し、改善する
リファラル候補者へのフォロー体制を整備する
リファラル採用では、候補者が紹介者と強い関係を持って入社することが多いため、入社後にスムーズに適応できるようなフォロー体制が必要です。以下のような具体的なフォロー方法を導入することで、候補者が組織に馴染みやすくなり、定着率も向上します。
オンボーディングの徹底
入社後すぐに上司や同僚と密接に関わる機会を設け、社内での役割や期待を明確にします。例えば、1ヶ月以内に行動計画を立て、進捗を確認することで、候補者が組織の文化や業務にスムーズに適応できるように支援します。
メンター制度の導入
推薦者とは別に、既存の社員をメンターとしてつけ、日常業務や職場環境についての疑問点を解決できるようにします。メンターが定期的に相談に乗ることで、入社後のストレスや孤立感を軽減し、候補者の早期離職リスクを抑えます。
採用基準と人物像を明確にする
リファラル採用を成功させるには、どのようなスキル・経験・文化的適合性を持った人材が求められているかを社員に周知することが不可欠です。
求める人物像の共有
会社のビジョンや中長期的な目標に基づき、具体的なスキルや経験、行動特性を明確にして社員と共有します。例えば、リーダーシップが必要なポジションであれば「プロジェクトマネジメントの経験があり、他者を支える意欲の高い人」などの条件を提示します。
評価基準の統一
推薦者が選考に関わる場合、評価基準を一貫させることで候補者の比較をスムーズにします。基準には「問題解決スキル」「対人関係能力」「企業文化への適合性」などを設定し、候補者のどの部分を評価するかが明確になるようにします。
リファラル採用におけるインセンティブを強化する
リファラル採用を成功させるためには、社員が積極的に人材を紹介したいと感じるようなインセンティブを設定することが効果的です。
金銭的報酬の設定
紹介者に対して金銭的な報酬を設定し、入社後の定着期間に応じて段階的に支払う仕組みにします。例えば、入社3ヶ月後に報酬の一部を支払い、6ヶ月後に残りを支払うことで、紹介者のモチベーションを維持します。
非金銭的インセンティブ
金銭だけでなく、表彰や社内評価の加点なども取り入れ、社員が紹介活動を自発的に行いやすくします。例えば、四半期ごとに「リファラル採用貢献賞」などの表彰を設けることで、紹介活動への取り組みを促進できます。
採用の成果を定量的に分析し、改善する
リファラル採用が組織にとって効果的かどうかを判断するには、採用プロセスの成果を定量的に測定し、フィードバックを基に改善を図ることが重要です。
採用者の定着率・パフォーマンスの追跡
リファラル採用による入社者が他の採用手法と比べてどれだけの期間定着しているか、また職務での成果をどの程度上げているかをデータとして追跡します。この分析により、リファラル採用の有効性を具体的に把握し、改善点を特定します。
選考プロセスの改善
分析結果に基づき、面接プロセスやフォロー体制の見直しを行います。例えば、早期退職者が多い場合には、文化適合性やコミュニケーションスキルの評価基準を強化するなどの対策を実施します。
リファラル採用を成功させた事例
リファラル採用を成功させた事例について3つ紹介します。
- 株式会社セールスフォース・ドットコム
- 株式会社ビズリーチ
- オムロン株式会社
株式会社セールスフォース・ドットコム
引用元:https://www.salesforce.com/jp/
背景として2012年、リファラル採用制度はあったものの、主にエージェント経由での採用が中心であり、必要な採用数を満たすためにはリファラル採用の強化が不可欠でした。
推進の際の工夫として、社内で「募集中のポジション」を告知し、経営層からの周知を行いました。また、紹介した社員には旅行券をプレゼントするキャンペーンを実施し、積極的な参加を促しました。
得られた成果は、リファラルによる採用が増加し、離職率が低下。社員のプロダクティビティも向上し、現在は年間採用人数の約半数がリファラル経由での採用となっています。
参考:https://jp.refcome.com/insight/referral/1823
株式会社ビズリーチ
引用元:https://www.bizreach.co.jp/
背景として創業以来リファラル採用を行っており、事業領域が広がる中で「攻めの採用」を体現する姿勢が求められました。
推進の際の工夫としては、2013年にリファラル採用が鈍化した際、社員が「リクルーティングプロジェクト」を立ち上げ、チームごとに3か月で1人の入社を目指しました。現在は立候補制となり、約4割の社員が参加しています。
得られた成果としてリファラル採用の割合が約4割に達し、他の採用経路と比べて最も多くの社員が入社する結果となりました。
参考:https://jp.refcome.com/insight/referral/1823
オムロン株式会社
引用元:https://www.omron.com/jp/ja/
背景としてエージェント依存が高く、これを続けることが将来的な採用難につながるとの懸念から、リファラル採用の導入を決定しました。
推進の際の工夫としては月1回のサイネージ展開や説明会を継続し、新たな協力者を増やしました。説明会ではリファラルカードを配布し、対面での紹介を促進。また、地方事業所でのポスター掲示やQRコードPOP設置を行いました。
得られた成果として、リファラル採用の導線が確立され、社員が紹介手続きを理解しやすくなりました。この変化により、機会損失が減少し、社員全体の意識も統一されました。
参考:https://jp.refcome.com/insight/referral/1823
まとめ
リファラル採用は従業員による候補者の推薦が主な手法ですが、業務適性や企業文化の適合性が確認不足だとミスマッチが発生しやすく、社員の期待が過度に膨らむこともあります。また、評価基準が曖昧で多様性が欠如するリスクもあります。
難しさの原因として、推薦者の動機が安定しないこと、効果測定の欠如、求める人物像の不明確さ、バイアスの影響、フォロー体制の未整備が挙げられます。これを改善するためには、フォロー体制の整備、基準と人物像の明確化、インセンティブの強化、採用結果の分析が必要です。
成功事例として、セールスフォース・ドットコム、ビズリーチ、オムロンは基準の明確化やフォロー体制を充実させて、リファラル採用の成果を上げています。
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