現在、働き方や人材の多様化が進む中、「社内コミュニケーション」の改善・活性化は企業にとって重要課題となっています。
今回は、社内コミュニケーション不足で生じる問題、社内コミュニケーション活性化のメリット、施策、取り組み事例などについてご紹介します。
企業における社内コミュニケーションの現状
HR総研が2021年に実施した「社内コミュニケーションに関する調査」によると、「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」という問いに対して、7割以上の企業が「課題がある」と回答しました。どの企業規模においても「ややあると思う」の比率が最も多く、1001名以上の大企業よりも中堅・中小企業の方が社内コミュニケーションにおける課題が大きいことが分かります。
具体的な課題の内容としては、「業務上の関りがほとんどない」「メールに依存しすぎている部分がある」「経営者の考えている方針が社員に伝わっていない」など様々な意見が寄せられています。
社内コミュニケーション不足で生じる問題
多くの企業がコミュニケーションに課題を感じています。ここでは、社内コミュニケーション不足によって生じる主な問題をご紹介します。
(1)生産性の低下
社内コミュニケーションが不足していると、業務を進めるうえでスムーズな連携が取れず、生産性の低下を招きます。
また、誰がどのような業務を行っているのかがわからないため、顧客への迅速かつ適切な対応ができず、営業機会の喪失に至ってしまうでしょう。
(2)トラブル隠蔽、不正行為の発生
社内コミュニケーションが不足していると、社員がお互いに今何をやっているのかを把握することが困難になります。そのような監視のない状況下では、トラブルの隠蔽や不正行為を引き起こしやすくなります。
また、実際にトラブルの隠蔽や不正行為が行われていても、周囲の目がないために発覚が遅れてしまい、問題が拡大してしまうでしょう。
(3)離職者の増加
コミュニケーションが不足していると、社員同士がお互いのことをよく知らず、信頼関係を築くことができません。そのような職場では人間関係の悩みを抱える社員も多くなります。
また、仕事上の悩みや問題点があっても相談しづらく、ひとりで抱え込んだ結果、鬱病などの病気を引き起こしてしまう社員もいます。結果的に、職場での人間関係が原因で離職する社員は増えてしまうでしょう。
【関連記事】社内コミュニケーションの課題とは|原因や活性化の解決策を紹介!
社内コミュニケーションを活性化するメリット
一方、社内コミュニケーションを活性化させるメリットとしては、下記のことが挙げられます。
(1)生産性向上
社内コミュニケーションが活発であれば、チーム内での情報共有や業務分担がスムーズになり、円滑に業務を進めることができます。
また、部署間の協働が必要になる場合でも、コミュニケーションが活発であれば、より密接な連携が可能になり、企業全体の生産性向上が期待できるでしょう。
(2)顧客満足度向上
社内コミュニケーションが活発になり情報共有が進むと、社内の各部署あるいは特定の誰かの手元に止まっていたさまざまな情報や知見を、組織全体で有効活用することができます。顧客に対するアプローチや提供できる価値が広がるため、顧客満足度向上につながります。
(3)社員の定着率向上
社内コミュニケーションが活発になり、常日頃から同僚や上司に仕事上の悩みを相談できる環境ができれば、社員の満足度は向上し、離職率の低下にもつながるでしょう。
人間関係での悩みや不満が原因で退職を選ぶ人は多いため、社内コミュニケーションの活性化は社員の定着率向上のために非常に重要な要素であるといえます。
(4)企業文化の浸透
社内コミュニケーションが活発になると、企業文化や経営理念、ビジョンが社員に浸透しやすくなります。勿論ビジョンの浸透のためにはどのような施策を打つのかが重要ですが、コミュニケーションが活発な企業とそうでない企業とでは、施策をうった際の効果反映のスピードも、そのハードルも異なります。
社内コミュニケーションの活性化策
社内コミュニケーションを活性化させる具体的な施策としては、下記のことが挙げられます。
(1)コミュニケーション研修
HR総研が2019年に実施した「社内コミュニケーションに関する調査」によると、職場の「コミュニケーション不全の防止・抑止策は何か?」という質問に対し最も回答数が多かったのがコミュニケーション研修です。大企業においては、4割以上の企業が採用しており、その効果も他の対策案と比べても一番実感できるという結果も出ています。
コミュニケーション研修とは、業務内外で行うコミュニケーションで勘違いを起こさないように、正しいコミュニケーションルールの基礎を学ぶ研修のことです。
一般的に新入社員や一般社員、管理職などの階層別に研修内容は異なっており、基本的なマナーや話し方、話の聞き方等について研修を行います。コミュニケーション研修を実施することで社員同士の関係性の向上だけでなく、業務の効率化も図られます。
(2)従業員アンケート
従業員アンケートは、職場環境の現状や会社に対する満足度を図るために行われる社員を対象としたアンケート調査の総称です。具体的に調査する内容としては、「業務内容」、「企業方針」、「処遇」、「新進の状況」等の項目が挙げられます。従業員アンケートを効果的に実施するには、アンケートを行う目的を明確にすることが重要です。
(3)社内報
社内報は、会社から社員に向けて発信する社内情報であり、会社の方針、社内活動、企業文化、考え方などを、会社と社員の間で共有する役割を持ちます。
自社の活動や実績などを魅力的なコンテンツにして発信・共有することで社内が活性化し、コミュニケーションの促進が期待できるでしょう。特に、新入社員にとっては、各部署がどんな仕事をしているのか、どんな社員がいるのかを知ることで安心感が生まれ、以降のコミュニケーションにも良い影響を与えます。
(4)1on1ミーティング
「1on1ミーティング」とは、上司と部下の1対1で、比較的リラックスした雰囲気の中で進められる対話型のミーティングのことです。
従来の人事評価面談は、半年に1回程度の頻度でしか行われないため、上司と部下の間でとられるコミュニケーションは限られており、「上司が一方的に部下に指示をする」形が主流となっていました。一方で1on1ミーティングは、最低でも月1回のペースで行われる為、上司と部下の密なコミュニケーションに繋がるとされています。
(5)フリーアドレス制度
「フリーアドレス制度」とは、社員の席を固定せず、自分の好きな席で業務を行う制度です。フリーアドレス制度を導入することで、部署や役職にかかわらず、社内の様々な人とコミュニケーションを取ることができるというメリットがあります。
ただし、フリーアドレス制度はコミュニケーションの活性化を促す反面、席を自由にすることによってどこに誰がいるのかわからない事態が発生する恐れがあります。そのため導入する際には、ビジネス向けチャットアプリの活用や、誰がどこにいるかがすぐにわかるように入退室管理の仕組みを作るなどの対策が求められます。
(6)メンター制度
「メンター制度」とは、所属する部署の上司とは別に、年齢の近い先輩社員が新入社員や若手社員の相談役を担い、サポートする制度のことです。
相談役は、新入社員や若手社員と別の部署の社員が担当することが多いため、普段の業務では関わらない他部署の社員と接する機会が増え、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。
(7)ピアボーナス制度
「ピアボーナス制度」とは、従業員同士が仕事の成果や貢献に対して、少額の報酬や感謝のメッセージを送り合う仕組みのことです。
感謝の気持ちが報酬やメッセージといった形で可視化されることで、それまで見過ごしていたような小さな成果や貢献にも気づけるようになります。このようなやり取りは、お互いの信頼関係を深め、その後のコミュニケーションを良好なものにします。
社内コミュニケーション活性化のユニークな取り組み事例
社内コミュニケーション活性化のユニークな取り組み事例をご紹介します。
(1)カルビー株式会社「毎日席替え制度」
フリーアドレス制度があるものの、何となくいつもの居場所ができてしまい、固定席とほとんど変わっていない状態の企業も多いのではないでしょうか。
カルビー株式会社では「ダーツシステム」という専用のシステムを使い、コンピューターがランダムに席を選ぶため、毎回違った席に座ることになります。これまで話すことのなかった他部署の社員とのコミュニケーションが増え、社内コミュニケーションの活性化につながります。
企業サイト:「カルビー株式会社の社”無い”(しゃない)文化について」
(2)株式会社ぐるなび「ウォーキングミーティング」
株式会社ぐるなびでは、「ウォーキングミーティング」と呼ばれる新しい会議の形を取り入れています。会議室で面と向かってではなく、並んでウォーキングをしながら会議を行う方法です。
ウォーキングミーティングでは、目線が同じ方向に向くため、威圧感のない対等な雰囲気の中で会話をすることができます。また、運動を行うと気分をリフレッシュすることができ、ポジティブなコミュニケーションにつながるという利点もあります。
企業サイト:「株式会社ぐるなびのウォーキングミーティングについて」
(3)株式会社ニット「オンラインコミュニティ」
株式会社ニットは、400名の従業員がフルリモートこともあり、組織活性化に積極的に取り組んでいます。その一つとして「オンラインコミュニティ」の創設に力を入れています。
「オンラインコミュニティ」では、「イラスト職人」や「デザイン職人」などの業務に関するものから「昭和生まれの会」や「キャンプ会」など業務に関係のない趣味などのコミュニティがあります。このように、業務外にも複数のコミニュティがあることで、自分が興味あるコミュニティに所属でき、他部署の社員との積極的なコミュニケーションが図られるでしょう。
企業サイト:「株式会社ニットのオンラインコミュニティについて」
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、社内コミュニケーション不足で生じる問題、社内コミュニケーション活性化のメリット、施策、取り組み事例などについてご紹介しました。社内コミュニケーションを活性化させることで、生産性や顧客満足度の向上が期待できます。今回ご紹介した施策を参考にして、社内コミュニケーションの活性化に役立てていただければ幸いです。
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