「アウトプレースメント(Outplacement)とは、リストラ時などに企業の依頼を受けて、人員削減により解雇される従業員の再就職を支援するビジネスをいいます。日本では、「再就職支援」と呼ぶのが一般的です。
人材紹介などとの違い
アウトプレースメントと人材紹介などの人材ビジネスとの違いは、費用を負担するのが人員削減を行う企業であるのがアウトプレースメントで、費用を負担するのが人員を採用する企業であるのが人材ビジネス、という点です。アウトプレースメントは人員削減の対象となった従業員の再就職を「支援する」ことが目的であり、再就職を保証するものではない。
アウトプレースメントの対象
アウトプレースメントの対象は給料の高い中高年になりやすくなっています。年功序列で給料が上がっていく日本企業にとって、不景気時に給料が高い人材を多く会社に残すことが困難になります。そのため、転職活動に縁がなく、就職活動した時代が昔であるという中高年層が対象になることが多くなっています。
アウトプレースメントの市場規模
アウトプレースメントビジネスは景気に左右されるので、不景気時に需要が高まり、好景気時に需要が下がります。導入された1997年には38億円だった市場規模は年々増加し、2005年にはおよそ10倍の400億円にもなっています。2014年には好景気に伴って269億円にまで下がってきています。
アウトプレースメントのメリット・デメリット
企業側のメリット
アウトプレースメントを利用する企業側のメリットとしては、リストラ時に企業と従業員間の摩擦を減らして、円満解決することができる点があります。また、従業員側のメリットとしては転職に関する総合的な支援を受けることができ、求人紹介はもちろん。キャリアプランに対する相談や指導、メンタルケアにまで充実している企業が多い点があります。
企業側のデメリット
アウトプレースメントを利用する企業側のデメリットとしては、費用です。費用に関しては、1従業員当たり50万円~100万円かかるとされており、リストラを実施する企業としては大きな負担となります。実施している企業も自ずと大企業となっており、莫大な費用の背景が伺えます。従業員側のデメリットとしては、再就職を保証するものではないという点です。再就職できるかどうかは、その従業員に依存するため、あまりに転職条件が高すぎる人に関しては、再就職できない可能性もあります。