給与計算とは?基礎知識から計算手順、気を付けたいミスまで解説します

給与計算とは?基礎知識から計算手順、気を付けたいミスまで解説します

給与ってどうやって計算するの?

給与計算に必要な知識は?

そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
本記事ではそんな方々に向けて基礎知識から計算手順、気を付けたいミスやアウトソーシングの可能性までご紹介しています。

給与計算とは

給与計算とは、従業員の給与額を算出する業務のことです。

従業員との契約内容に基づき、手当なども考慮しながら総支給額を算出しています。ここから社会保険料や税金を差し引くことで、最終的な差引支給額(手取り額)まで計算によって求めています。
給与計算でミスが起これば様々なリスクが予想されるため、非常に重要な業務といえるでしょう。

給与計算によるリスクは給与計算のミスによって起こる問題で詳しく紹介しています。

給与計算で必要になる知識

給与計算を行うには、ある程度の知識を持っておくことが必要です。それは大きくわけて以下の6つです。

必要になる知識・賃金支払い5原則
・給与の内訳
・所定内給与と所定外給与
・超過勤務手当(残業代)
・標準報酬月額
・天引き(源泉徴収)

それぞれについて詳しく紹介します。

賃金支払いの5原則

賃金の支払い方法は労働基準法第24条において定められており、この内容を「賃金支払いの5原則」といいます。
具体的には、以下の通りです。

①通貨で
②直接労働者に
③全額を
④毎月1回以上
⑤一定の期日を定めて 支払わなければならない

これらはすべて従業員に不利益が発生しないために規定されています。

また「③全額払いの原則」に天引き(源泉徴収)は違反しているように見えますが、法令に別段の定めがある場合または労使の自主的な協定がある場合には一部控除することが認められているため、違反しているとは考えられません。
このように、手続きの簡素化や実情を鑑みて上記の5原則は通達などによって柔軟性が保たれています。

参考:)厚生労働省「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えてください。」

給与の内訳

給与は総支給額・控除額・差引支給額(手取り給)から構成されています。いわゆる「手取り」にあたる差引支給額(手取り給)は以下の計算式から求めることができます。

総支給額ー控除額=差引支給額(手取り給)

またそれぞれの内訳は以下の通りです。

総支給額:基本給+超過勤務手当+各種手当

控除額:税金(住民税、所得税)+社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)+その他(企業独自)

所定内給与と所定外給与

総支給額が「基本給+手当」で成り立っていることを紹介しました。これらの中には、金額が変動しないものと変動するものの2種類が存在します。

所定内給与:「固定給」とも呼ばれる。勤務時間や成績によって変動することがなく、基本給や役職手当といった毎月定額の給与が該当する。

所定外給与:「変動給」とも呼ばれる。超過勤務手当やインセンティブなどが該当し、月ごとに金額が変動するため注意が必要。

超過勤務手当(残業代)

給与計算を行う上で難しい点となるのが、超過勤務手当に対する理解です。
超過勤務手当とは、簡単にいうと以下の場合で払う割増賃金のことを指します。

割増賃金を払う場合・残業をした場合
・休日に働いた場合
・深夜に働いた場合

また、超過勤務手当は所定外給与(変動給)です。毎月計算が必要となる上、その計算も「休日の深夜(22時~5時の間)働いたら60%以上割増の賃金だが、深夜でなければ35%以上」といったように個人ごとの残業時間数や時間帯まで把握して計算をしなければなりません。

超過勤務手当については以下の記事で詳しく紹介しています。

標準報酬月額

標準報酬月額とは、社会保険料の計算に必要なものです。毎年再計算の必要があり、4・5・6月の給与の平均額を標準報酬月額等級区分に当てはめたものが標準報酬月額と呼ばれます。

天引き(源泉徴収)

天引きと呼ばれるシステムについても理解が必要です。総支給額から控除額を差し引いた額が手取り額になることは解説しましたが、この控除額を差し引く作業のことを天引きと呼びます。これらの中には社会保険料や税金が含まれているため、ミスができない作業の1つといえるでしょう。

給与計算で準備すべきもの

給与計算を行おうとした際、なにも準備せず計算を始めることはできません。次の4つのものを準備しておく必要があります。

準備すべきもの・従業員の勤怠情報
・従業員情報
・保険への加入情報
・就業規則・給与規定

従業員の勤怠情報

まずは従業員の勤怠情報を集めましょう。この情報は急に用意することは難しいため、前もってタイムカードやExcel、勤怠管理システムなどを使用して準備しておくことが必要です。それらによって集めておいた情報を集計することが給与計算前には必要となります。

従業員情報

従業員の基本給や手当は、昇給や役職変更などの要因によって変動することがあります。これらの従業員情報は給与計算に深く関わる部分であるため、正確に把握する必要があります。
したがって、基本給の変動や手当に関係する従業員情報は準備しておく必要があります。

保険への加入情報

先ほどもご紹介しましたが、天引き(源泉徴収)が給与計算では必要なため、従業員の保険への加入情報は準備しておく必要があります。
保険の主なものとして健康保険や厚生年金保険、介護保険(40歳〜)が挙げられます。

社会保険への加入条件については以下の記事で詳しく紹介しています。

就業規則・給与規定

給与計算で準備すべきものとして、就業規則や給与規定は忘れてはならないでしょう。
起業したばかりでまだそれらの整備ができていない場合、早急に作成する必要があります。

就業規則は従業員が10名を超えない場合は作成義務はないとされていますが、文面でルールや労働条件を明記しておくと後々のトラブルを防ぐことが期待できます。
就業規則・給与規定によって、遅刻の場合に対する給与の考え方や労働形態を把握するため、これらの準備と確認はしておくべきでしょう。

給与計算の手順

給与計算 手順

給与計算の手順は以下の通りです。

①勤務時間の集計
超過勤務にあたる勤務(休日出勤や深夜労働など)がないか確認が必要です。

②超過勤務手当の計算
①で超過勤務にあたる勤務があった場合、超過勤務手当を法律で決まった割増率以上で計算します。

③各種手当の計算
家族手当や役職手当など従業員ごとに異なる手当に注意が必要です。

④総支給額の計算
総支給額の計算式は以下の通りです。

総支給額=基本給+超過勤務手当+各種手当

⑤控除額の計算
ここでは、総支給額から差し引く控除額を求めましょう。以下が計算式です。

控除額=税金(住民税、所得税)+社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)+その他(企業独自)

⑥差引支給額(手取り額)の計算
最後に従業員の手元に残る手取り額の計算をします。以下が計算式です。

差引支給額=総支給額ー控除額

給与計算で起こりやすいミス

給与計算で起こるミスは様々ですが、以下のようなケースが多いようです。

・扶養から外れた後の反映漏れ
・超過勤務手当の反映漏れ
・40歳以上の介護保険料の控除漏れ
・異動や昇給による給与の変化への対応遅れ

これらのミスは基本的に未然に防ぐことが可能ですが、ミスしやすい部分を知っておくことでよりミスしづらくなることでしょう。

給与計算のミスによって起こる問題

では、給与計算でミスが発生してしまった場合どのような問題が起こり得るのでしょうか。
それは大きく以下の3点です。

・従業員からの信頼度の低下
・一度の支出が増える
・必要な手続きが増える

まず、従業員からの信頼度が下がることが懸念されるでしょう。ミスが発覚した際は従業員に対して、速やかに報告と謝罪を行うのが得策です。
また計算ミスにより少ない給与を支払っていた場合は、不足分を補填する必要があるため一度の支出が増えてしまうというリスクもあります。
さらに、給与の過不足があった場合は通常の業務に加えて給与の調整という業務も発生するため注意が必要です。

給与計算とアウトソーシング

給与計算は、企業運営の中心的な部分としてその重要性を持ち続けています。しかし、その背後には税制の変更、労働法の詳細、さらには社会保険の絶えず変わるルールという、複雑な要因が存在します。このような状況の中、中小企業は特に、給与計算に関する作業や知識を内部で持つことが困難です。給与計算はルーティン化された業務のため、アウトソーシングと親和性が非常に高いです。企業規模の大小に関わらず、事務や人事の業務をアウトソーシングする企業は少なくありません。
参考文献:「中小企業経営者必見!給与計算代行サイト3選 – 効率アップの鍵を手に入れよう

給与計算をアウトソーシングするメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット
・コスト削減
・コア業務への注力
・法令改正への対応が容易に
・属人化の防止
デメリット
・自社ノウハウが形成されない
・情報漏えいの危険性がある

より詳しく給与計算のアウトソーシングについて知りたい方は以下をご覧ください。

おすすめのアウトソーシングサービス

ここからは、おすすめのアウトソーシングサービスをご紹介します。

株式会社uloqo

uloqo

株式会社uloqoは、人事評価制度設計や労務コンサルなど人事領域の支援を強みとする企業です。以下が株式会社uloqoのサービスの特徴です。

特徴・採用から労務、評価まで一気通貫のノウハウを有するコンサルタントによる労務代行で、ビジネス視点を持った提案が可能です。
・従業員対応(ex入退社時の面談対応など)も含めて代行が可能です。自社で労務専任担当者を採用するより低いコストで、あらゆる労務業務を担当可能です。
・業務の全てをマニュアル化。インハウス運用時にもスムーズな移行が可能です。
・ディレクターとオペレーターの二名体制による支援で、上流〜下流それぞれにおける対応力を有しています。
・チャットおよび電話を通したクイックレスポンス対応が可能です。
解約実績なし。手厚いフォローアップで満足度の高いサービスです。

フジ子さん / フジア株式会社

フジ子さん

フジ子さんは、フジア株式会社が提供するオンラインアシスタントサービスです。「必要なときに必要なだけ」メールや電話で仕事を依頼できます。給与計算からwebサイト運用まで多くの業務を依頼可能です。
以下がフジ子さんの特徴です。

特徴・実務経験のあるオンラインアシスタントが所属
給与計算だけでなく秘書やwebサイト運用を依頼することも可能
・給与計算については、マニュアルもしくは作業レクチャーによる指示の範囲で対応

社会保険労務士法人 味園事務所

味園事務所

社会保険労務士法人 味園事務所は給料計算はもちろん、就業規則の作成から助成金申請、管理職向けの研修まで幅広い業務を行えることが特徴です。
以下が社会保険労務士法人 味園事務所の特徴です。

特徴東証一部上場企業との取引実績など経験が豊富
・就業規則の作成から助成金申請、管理職向けの研修まで幅広い業務内容
・給料計算は基本月額30,000円+1人あたり500円から依頼可能

まとめ

給与計算は従業員の生活の基盤を支えるともいえる重要な仕事。正しく理解してミスなく業務を進めたいですよね。
本記事が、給与計算に関する疑問や不安をお持ちの方に役立てば幸いです。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

株式会社uloqo労務代行サービスの6つの魅力

✓採用から労務、評価まで一気通貫のノウハウを有するコンサルタントによる労務代行で、ビジネス視点を持った提案が可能です。
✓従業員対応(ex入退社時の面談対応など)も含めて代行が可能です。自社で労務専任担当者を採用するより低いコストで、あらゆる労務業務を担当可能です。
✓業務の全てをマニュアル化。インハウス運用時にもスムーズな移行が可能です。
✓ディレクターとオペレーターの二名体制による支援で、上流~下流それぞれにおける対応力を有しています。
✓チャットおよび電話を通したクイックレスポンス対応が可能です。
✓:解約実績なし。手厚いフォローアップで満足度の高いサービスです。

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