ベンチャー・スタートアップ企業の労務|知っておきたい9のポイント

ベンチャー・スタートアップ企業の労務|知っておきたい9のポイント

労務管理に割く時間がない

忙しくてどうしても労務管理が疎かになってしまう

このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかしベンチャー・スタートアップ企業であるからといって、労務管理を疎かにしていい訳ではありません。
ベンチャー・スタートアップ企業だからこそ、労務管理が重要となるのです。
本記事では、なぜ労務管理が重要なのか、陥りやすいトラブル、トラブルを回避するためのポイントについて解説します。

なぜベンチャー・スタートアップ企業で労務管理が重要なのか

ベンチャー・スタートアップ企業を立ち上げ「どのような目標を目指すのか」と考えたとき、実際はあまり多くの選択肢は存在しません。
これらの目標を達成するためには、労務管理が非常に重要になります。ここでは、IPO・M&A・非上場という3種類の目標ごとに詳しく紹介します。

【IPOを目指す場合】労務管理の重要性

IPOとは「Initial Public Offering」の略であり、日本語では「(新規)株式公開」ともいわれます。株式市場に上場することで、主に以下のようなメリットがあります。

・資金調達が容易になる
・企業の知名度の向上
・社会的信用の向上

メリットも多いIPOですが、実現するためのハードルはかなり高いです。IPOの際には審査が入り、実現にはこの審査をパスしなければなりません。
この審査で重要になるのが労務管理です。労務管理を怠っていたために、さまざまな問題を抱えていることが露出すると審査を通ることはできません。

【M&Aを目指す場合】労務管理の重要性

M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略です。企業の合併吸収のことを指し、主に以下のようなメリットがあります。

・後継者不在の解決
・事業の継続、拡大が見込める
・経営基盤の強化

上記のようなメリットがあるM&Aですが、IPOに比べると準備に手間が掛からないという点もメリットとしてあります。M&Aは双方の合意があれば達成可能だからです。

しかし、ここでも重要となるのが労務管理です。未払いの賃金が自社にあった場合、M&Aを達成することは難しいでしょう。もちろん、管理体制に不安を抱える企業を買いたいと思う企業は少ないですよね。また未払い賃金が買取後に発覚した場合、買い手の企業に支払い義務が発生します。そのことも手伝い、買い手企業から見て労務管理体制は非常に重要なポイントとなるのです。

【非上場で拡大を目指す場合】労務管理の重要性

あえてIPO(株式公開)を行っていない企業のことを非上場企業といいます。非上場企業であることのメリットは以下の通りです。

・株主の意見に影響されることがない
・買収リスクがない
・上場のために必要なコストがかからない

このようなメリットがある非上場企業ですが、デメリットとして「社会的信頼度が低い」という点が挙げられます。労務管理がずさんであればあるほど、この社会的信頼度はさらに低下してしまいます。非上場のままでも労務管理は重要なのです。

ベンチャー・スタートアップ企業が労務問題に対応すべき時期

ベンチャー・スタートアップ企業では企業規模の拡大などのステージごとに、労務上のさまざまな問題点が出てきます。

起業初期

内部の人的リソースが少なく、外部への業務委託を活用する場合があるかと思います。

その場合、業務委託が雇用状態にあると捉えられてしまうと労働基準法上では「労働者」に当たるため注意が必要です。この状態を解決しないままであれば、後々の審査などで労務上の問題を抱えていると判断される可能性が非常に高くなります。

事業拡大期

事業を拡大する際、さらに人員が必要となれば新規採用を行います。しかし、新規採用を行うこのタイミングがもっとも問題が起こりやすいといえるでしょう。雇用契約書や労働条件通知書、就業規則などに不備があることが極めて多いからです。

さらには、勤務時間の管理・給与計算の方法が不十分であるために「サービス残業が常態化している」「残業代が正しく支払われていない」といった問題が発生する場合もあります。

IPO/M&A 準備期

この段階でさまざまな問題が顕在化することが多いようです。それらの問題を解決するために想定外の費用がかかる場合も珍しくありません。企業イメージの毀損につながることもあるので、潜在的な問題を徹底的につぶしていく姿勢が重要です。

ベンチャー・スタートアップ企業が陥りやすい労務トラブル

ここでは、ベンチャー・スタートアップ企業が陥りやすい主なトラブルについて紹介します。それは、「業務委託の扱い」「未払い賃金の存在」「必要書類の不備」です。

業務委託の扱い

業務委託の扱いは非常に難しいものです。
委託先と企業は対等な関係であるとされているため、委託先に労働基準法などを適用する必要はありません。

しかし業務委託先と企業の間で雇用関係があると認められた場合、労働基準法を適用する必要が生まれます。つまり、残業代の支払いや有休を与えることが義務として発生するのです。そもそも業務委託先と雇用関係が認められるということ自体が問題であるため、早急に対応することが必要です。

未払い賃金の存在

勤務時間の管理・給与計算の方法が不十分だと、未払い賃金が発生する可能性が格段に上がります。残業代が未払いだった場合、退社した社員を含めて過去2年分の残業代を支払う必要が生じてしまいます。時間外の割増率や深夜の割増率など、賃金の計算方法は煩雑なので注意しましょう。この問題は放置すればするほど一度に失う金額が大きくなるため、早急に対処することを心がけましょう。

必要書類の不備

企業にとって必要な書類は非常に多いです。労務上の問題に発展しやすい書類としては、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書が挙げられます。これらに不備があれば法的な問題に発展するので注意が必要です。専門家と相談しながら作成することが書類に不備を作らないためには有効です。

ベンチャー・スタートアップ企業が労務トラブルを回避するためのポイント

ここまで、労務管理の重要性や対応すべき時期、陥りやすいトラブルについて述べてきました。ここでは、労務トラブルを回避するために守りたい最低限のポイントを紹介します。
最低限のポイントは以下の通りです。

ポイント・社会保険の適用
・労働条件通知書・労働契約書の作成
・解雇規則の作成
・36協定の締結
・賃金体系の検討
・労働時間の把握
・業務委託の扱い方
・入社手続きのフロー作成
・就業規則の作成(従業員10名以上)

上記のポイントは、法律で作成や締結が義務づけられているものや、整備しなければ簡単に労務トラブルに発展するものになります。
すでにこれらのポイントを押さえられている、という方でも「その内容が適法であるかどうか」「現在の企業にマッチしているのか」といった視点から再検討されることをおすすめします。

まとめ

ベンチャー・スタートアップ企業において、後々の問題を回避するためにも必要なものが労務管理。労使間でのトラブルを引き起こさないためにも、原因となるものはすべてつぶしておきたいですよね。
本記事が労務管理について疑問をお持ちの方のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人

関川 懸介

株式会社uloqo代表取締役

1990年6月29日生まれ。京都府出身。
新卒でアドテクノロジーベンダーに就職。
その後、リクルートグループの人材斡旋部門において、キャリアアドバイザーとして従事。全社MVP計6回受賞、準MVP計2回受賞。2016年4月に、創業者の当時代表取締役と共に株式会社uloqoを設立。
人材紹介事業、メディア運営、HRsolution事業、uloqoに関わる全事業において、1人で立ち上げから収益化まで担う。

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