近年、新卒採用では母集団形成を行うことが一般的となってきており、母集団形成の自社にあった方法が知りたいという方はいらっしゃるかと思います。
しかしながら、
- 母集団形成がなぜ必要なのかよくわかっていない
- 母集団形成の手法がわからない
- 母集団形成のポイントがわからない
という方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では
- 母集団形成の3stepとメリット
- 母集団形成の手法9つ
- 母集団形成のポイント
を解説します。
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新卒採用での母集団形成とは?
母集団形成とは、自社の求人に興味を示している候補者を集めることです。言いかえると「自社求人に応募してくれそうな人」を集めることを言います。
しかし、エントリー数を重視してただ闇雲に候補者を集めれば良いというものではなく、自社のターゲットとなる人材を集めることが重要となります。質と量の両方で最適な母集団を形成することで、成功率の高い効果的な採用活動を実現できます。
中小企業においては、応募者がほとんど集まらないことも少なくありません。応募してくれそうな条件を持った人を逆算し、元々自社に興味がなかった層にアプローチすることも母集団形成の1つの方法です。
中途採用の母集団形成とは?手順やポイント、8つの手法を解説
母集団形成における3つの課題
母集団形成には3つの課題があります。
- 応募者数を増加させることが難しい
- 応募者の質を向上させることが難しい
- 最新のトレンドが自社に有効とは限らない
応募者数を増加させることが難しい
1点目の課題は「母集団の数を増やす」ことです。母集団形成を行う目的は、採用目標を達成することであり、採用目標では採用目標人数も定めています。そのため、母集団の数が見込みよりも少ない場合、いくら質の良い人材が多い母集団を形成できたとしても、最終目標は達成できません。
例えば、
A社の母集団:30人
B社の母集団:10人
両者の「応募から内定承諾までの歩留まり」が8%だと仮定
この場合、A社の採用数は2.5人なのに対して、B社は0.9人となります。母集団形成の数に問題がある場合、採用が全く上手くいかない場合もあることを留意しておきましょう。
応募者の質を向上させることが難しい
2点目の課題は「母集団の質を上げる」ことです。母集団形成を行う目的は、目標採用人数以外にも、自社の求める人材を採用することも含まれています。そのため、闇雲に母集団の数を増やすことは必ずしも正義ではないことは注意すべきです。
母集団の質を上げるためには、自社の求める人材を母集団に集めるための施策を打つ必要があります。
最新のトレンドが自社に有効とは限らない
最新のトレンドが自社の業界や企業文化に適しているかどうかを見極めることが重要です。
最新の採用トレンドを実施するには、追加のリソースが必要になることがあります。例えば、新しい採用ツールやテクノロジーを導入するための予算や人材、トレーニングが必要です。これらのリソースが不足している場合、トレンドを効果的に活用することが難しくなります。
多くの企業で母集団形成が課題化している理由
近年少子高齢化の勢いは留まることを知りません。生産年齢人口の減少によって売り手市場となり、採用活動が難しくなっている現状にあります。厚生労働省のデータによると、2065年には日本の総人口が9000万人を下回り、高齢化率は38%にまで上ると推計されています。
出典:) 「大卒求人倍率調査(2021年卒)- Works Report – リクルートワークス研究所」
このような背景から、有効求人倍率も上昇しています。上図に示されているように、2012年から2019年の間の有効求人倍率は右肩上がりとなっています。リクルートワークス研究所が2020年8月に発表した「2021年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率」は1.53倍です。新型コロナウイルスの影響で大卒求人倍率は減少傾向にありますが、長期的に見ると以前の水準値である1.70倍程度まで戻ると考えられています。
出典:) 「マイナビ 2021年卒企業新卒採用活動調査 – マイナビ 」
また、マイナビの調査によると、新卒採用において「母集団(エントリー数)の形成」を最大の課題として挙げている企業は45.4%であり、すべての課題の中で最も高いパーセンテージを示しています。多くの企業が応募者の確保に苦戦していることが分かります。
母集団形成の3つのメリット
では、企業が母集団を形成するメリットはどのようなものが挙げられるでしょうか。
- 採用プロセスの効率化
- 優秀な人材の確保
- 離職率の低下
それぞれについて詳しく解説します。
採用プロセスの効率化
まず、大量の応募者の中から自社とのマッチング度の高い人材を発掘するには、時間もコストもかかってしまいます。そこで、母集団を形成することで、採用担当者はより多くの候補者の中から最適な人材を選ぶことができます。ポジションに最も適した候補者を迅速に見つけることができ、採用プロセスが効率化されます。
優秀な人材の確保
母集団形成は、企業がダイレクトに求めるバックグラウンドやスキルを持つ候補者を見つけられます。これにより、企業はより広範なスキルセットや視点を持つ候補者を見つけることができ、組織の競争力を高めることができます。
また、候補者の質が向上することで、採用後の研修や教育にかかるコストも削減できます。
離職率の低下
母集団形成により、企業は文化や価値観が一致する候補者を見つけやすくなることで、従業員のマッチング度が向上し、結果離職率が低下します。適切な人材を採用することで、長期的な従業員の定着が期待でき、採用コストの削減にも寄与します。
新卒採用における母集団形成の3つの手順
新卒採用において具体的にどのような順序で母集団形成が行われているのかわからない方はいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、母集団形成が行われる順序を3stepで解説いたします。
1.学生に認知してもらう
Step1は「認知してもらう」です。日常生活やテレビCM等でよく目にする大企業であれば、学生からの認知度も高いと考えられますが、日本の9割以上の企業は中小企業に分類されるため、学生からの認知度は低いです。
そのため、母集団を形成するための土台としてまずは認知してもらう必要があります。中小企業が、学生に自社を認知させるためには、企業側からの積極的アプローチが必要になります。
具体的には、WEBサイトやSNSなど、新卒の学生の使用頻度の高い媒体を使ってアプローチをかけるべきでしょう。
2.エントリーしてもらう
Step2は「エントリーしてもらう」です。「エントリーしてもらう」というステップには
自社に魅力や興味を持ってもらうという意味合いも含まれています。認知してもらっただけでは当然、自社に入社してくれそうな母集団を形成することはできません。
採用活動は、求職者と求人者のマッチングにより成り立つため、求職者へ自社の魅力を訴求する必要があるのです。エントリーをしてもらうために具体的には、採用ペルソナにとって魅力に感じる採用ページ/求人を作成することや会社の雰囲気が伝わるような文章やコンテンツを用意することなどが挙げられます。
3.説明会に予約してもらう
Step3は「説明会に予約してもらう」です。Step2のエントリーだけでも母集団は形成できているともいえますが、エントリーはあくまで形だけの母集団とも捉えられます。
理由は、エントリーした学生が必ずしも選考に参加するとは限らないからです。そのため、会社説明会に参加して初めて母集団としての学生だと判断すべきでしょう。
会社説明会においても、求人や会社ページと同様に、企業の魅力を伝えて学生のエンゲージメントを高める必要があります。会社説明会は学生が企業の社員と接する最初の機会であるため、ここでの印象は会社へのイメージと強く結びつきます。会社に好印象を持ってもらえるようなプログラムやコミュニケーションを心掛けましょう。
母集団形成の手法9選
母集団形成の手法は具体的にどんなものがあるのか気になる方はいらっしゃるかと思います。
そこで、9つの母集団形成手法を紹介いたします。
就職サイト
インターネットやスマートフォンの普及により、最も一般的な手法となりました。大半の学生や求職者が登録しているため、幅広い層にアプローチすることが可能です。しかし、登録企業が多いため、他企業との差別化を意識した運用が必要不可欠となります。
転職サイトを活用するメリットは以下の通りです。
- 利用者数が多いため、自社認知の向上を図れる
- 在住地域を問わず応募してもらえる
- 多くの情報を掲載できるため、求職者へアピールしやすい
一方でデメリットは以下の通りです。
- 掲載社数が多いため、埋もれてしまう
- 情報の種類やオプション等の戦略検討を怠ると効果が出にくい
新卒紹介サービス
新卒紹介サービスとは、企業の採用要件にあった学生を紹介会社が紹介してくれるサービスになります。紹介会社が、求職者と企業の価値観をマッチングさせてくれるため、ミスマッチが起きにくいという点が特徴になります。
新卒紹介サービスを利用するメリットは以下の通りです。
- 希少性の高い学生と出会える機会がある
- 少人数採用において効率的である
- 完全成果報酬である
一方で、出会える学生数が少ない場合があり、規模の大きい母集団形成には不向きというデメリットもあります。
合同企業説明会
合同説明会等の就職イベントでは、学生と直接会話を交わすことができるため、自社をアピールしやすいという特徴があります。誰でも参加できるイベントに加え、女性限定や理系限定等、属性別に開催されるものもあるため、ターゲットを絞った母集団形成を実現できます。
合同企業説明会を開催するメリットは以下の通りです。
- 多くの応募者に会え、直接会話ができる
- 自社の魅力を直接アピールができる
- 属性別のイベントを活用することで、効率的にターゲット層に会える
- 知名度が低くても、自社に興味を持ってもらえる
一方で以下のようなデメリットがあります。
- 大規模な説明会は自社が埋もれやすい
- 小規模な説明会は来場者数が少ない
- 成果に繋がらなかった場合でも費用が掛かる
マッチングイベント
マッチングイベントとは、合同企業説明会よりも比較的小規模で行われる就活イベントです。参加する学生数は50〜100名程度である、出展社数が少ない点が特徴です。出展社数が少ないことから知名度の低いベンチャー/中小企業が学生に認知してもらうに最適といえます。
マッチングイベントを活用するメリットは以下の通りです。
- 出展社数が少ないため認知されやすい
- 就職活動に積極的な学生と接点を持てる
一方で、成果に繋がらなくとも費用がかかるといったデメリットがあります。
大学/研究室訪問
特定の大学に訪問し、説明会を行うのが学内セミナーです。最近は合同説明会の形を取る場合もあります。学生の企業に対するハードルが下がり、エントリーしやすくなる点が最大のメリットと言えるでしょう。「わざわざ自分の学校に来て採用活動をしてくれている」という特別感を学生に与えることができます。「○○大学向け学内セミナー」というタイトルをつけて特別感を演出するのも良いかもしれません。
大学や研究室に訪問するメリットは以下の通りです。
- ローコストで多くの学生に出会える
- 学生の自社に対する応募意欲を高める
- パイプ作りとして効果的
一方で訴求人数が少ないため、効果を得られない可能性があるというデメリットもあります。
ダイレクトリクルーティングサービス
ダイレクトリクルーティングとは、企業の採用ペルソナに合致する人材に対して、直接的にアプローチをかける採用手法のことです。一般的にはスカウトと呼ばれる機能を使ったサービスが多いです。
求職者側ではなく、企業側から学生にアプローチする点が他求人手段との大きな違いです。
ダイレクトリクルーティングを活用するメリットは以下の通りです。
- 採用要件に合った人材に直接アプローチできる
- 登録者は比較的優秀層の学生が多い
一方で以下のようなデメリットがあります。
- スカウトメールの文面にこだわる必要がある
- 人事/採用担当者の負担が増える
ダイレクトリクルーティングとは?中途向けサービスの詳細を徹底比較
リファラル
リファラル採用とは、内定者や新入社員の知人を企業に紹介するという採用手段です。内定者や社員の紹介であるため、採用コストを大幅に削減できる点がリファラル採用の特徴です。また、内定者や社員の紹介であるため、人材の質にある程度の信頼性が担保される点も特徴として挙げられます。
リファラル採用を活用することで、自社にマッチングしている求職者と簡単に繋がれたり、採用コストの削減を行ったりすることができます。
一方で、大量に母集団を集めることはできないといったデメリットもあります。
リファラル採用サービスおすすめ3選!特徴や導入実績で徹底比較!
SNS活用
最近はTwitterやFacebookを用いた採用活動も行われています。企業のアカウントで定期的な情報提供を行うことで、自社のファンを増やし、応募意欲を高めることができます。就職サイトのように応募受付や求職者の個人情報を取得することは難しいですが、SNSの利用者が多い昨今において、企業認知を高めるためには最適な手法といえるでしょう。
SNS採用を実施することで以下のようなメリットがあります。
- 企業認知を高めることができる
- 求職者の応募意欲を高められる
- 社風や企業理念に共感した人材の母集団を形成することができる
- 気軽にメッセージのやりとりができる
一方で、応募受付や求職者の個人情報の収集が難しい点や、長期的な運用が必要な点はデメリットとも言えます。
SNS採用とは?事例やメリットデメリット、採用戦略の立て方を解説!
オウンドメディア
自社のホームページとは別に、採用に関する専用サイトを開設し、そのサイトから求職者を集める手法になります。求める人材像や社員インタビュー等を掲載することで、求職者に自社の魅力を最大限アピールすることができます。また、エントリーから採用までの流れが明確化されるため、学生にとってもメリットがある手法です。
しかし、採用サイトには自社の名前を知る人しか訪れません。単に採用サイトを制作したとしても、そのサイトが多くの学生に見てもらえるような運用を実施できなければ意味がないのです。SNSやイベント等、自社認知を拡大できる他の母集団形成手法と併用していくのが良いでしょう。
オウンドメディア採用には以下のようなメリットがあります。
- 企業の魅力をアピールしやすい
- 求職者の質の向上を期待できる
- エントリー数の増加が見込める
一方で、オウンドメディアだけでは母集団形成ができないといったデメリットがあります。
オウンドメディアリクルーティングとは?メリットや採用成功事例を解説
母集団形成を成功させるためのポイント
母集団形成におけるポイントをいくつか紹介いたします。主に3点あります。
- 採用ペルソナを明確にする
- 自社に適した採用手法を選択する
- 採用代行を活用する
採用ペルソナを明確にする
母集団形成においては、”どんな人が必要か”(採用ペルソナ)を定めることが最重要になります。母集団形成を行う1番の目的は採用に繋げることです。ただ闇雲に母集団形成を行っていても、自社に適した人材を集めることができなければ採用数の増加は見込めません。
採用ターゲットを明確にすることで自社に合った人材を多く含んだ母集団形成を実現できるため、結果として採用数の増加が期待できます。
採用ペルソナとは?作り方や注意点、活用事例も紹介!
自社に適した採用手法を選択する
本記事で紹介した母集団形成のための手法は全部で9個あります。9個の採用手法全てを実行することは、作業工数とコストの観点から実現可能性が低いと考えられます。そのため、自社の採用目標を達成するために最適な採用手法に絞り込む必要があるのです。
採用手法は「コスト」「時間」の2つの軸で4象限に分類できます。以下の図表を参考に、自社にとって最適な採用手法を選択しましょう。
採用代行を活用する
自社に採用ノウハウがない場合、採用代行を活用することも母集団形成のポイントだといえます。母集団形成は、数多くのオプションから自社に最適な手法を選択し、その運用まで行わなければいけません。運用を成功させるためには、採用戦略の立案から実行まで行う必要があり、網羅的かつ専門的なノウハウが必要になります。
自社に採用ノウハウがない場合、1から母集団形成についての知識をインプットし、ノウハウを蓄積していく必要があり、時間的/経済的コストがかかります。またノウハウがない中で母集団形成を行うため、思うように効果が得られない可能性もあります。そのため、採用ノウハウがない会社の場合、採用代行会社に委託した方が費用対効果が高くなる場合もあります。
まとめ
新卒採用における母集団形成は、企業が優秀な人材を獲得するための重要なステップです。効果的な母集団形成には、ターゲット層の明確化や多様な採用チャネルの活用が鍵となります。従来の求人サイトや説明会だけでなく、SNSやインターンシップ、リファラル採用を取り入れることで、広範な人材層にリーチできます。また、企業の魅力を伝えるブランディングや、候補者に寄り添ったコミュニケーションも重要です。
この記事を参考に、効果的な母集団形成の戦略を立てましょう!
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