こんにちは。digireka!HR編集部です。「マネジメント」は、組織を率いる上で欠かせない要素の一つです。
そこで今回は、企業におけるマネジメントの役割と必要な能力について執筆しました。
マネジメントとは?
経営学の世界において、「マネジメント」という言葉は経営学者のドラッカーが広めた概念とされています。ドラッカーの定義によると、マネジメントとは、「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」とされています。
「マネジメント」という言葉を直訳すると、「経営」や「管理」という言葉になります。具体的には、組織においての「ヒト・モノ・カネ」を効率的に経営・管理するということです。マネジメントを実際に行う人のことをマネージャーといいます。「マネージャー」は、ドラッカーの定義によると、「組織の成果に責任を持つ者」とされています。
マネジメントの役割
目標の設定
マネジメントの目的は、設定した目標に沿って組織を運営していくことです。そのためには、まず初めに目標を最初に立てて、向かうべき方向を示す必要があります。
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組織の構築
目標達成のために必要な仕事を分類し、それぞれの職能別の組織を構築し、そのために必要な人選も行います。
評価
部下の仕事に対して、評価する基準を整えなくてはなりません。それにより、モチベーションなどを効率的にコントロールすることで全体の業績をあげることができます。
人材育成
人材は、企業にとってとても重要な経営資源です。人材を育てることで、チームの業績の向上に繋がることから、人材育成は何よりも重要とされています。
マネジメントに必要な能力「カッツモデル」
ハーバード大学の経営学者のロバート・カッツが提唱したマネジメントの考え方であるカッツモデルというものがあります。重要なマネジメント能力をテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つに分けて考えています。
テクニカルスキル
「テクニカルスキル」とは、仕事や業務を遂行する為に必要な知識や能力のことです。「業務遂行能力」ともいわれています。「テクニカルスキル」にはレベルがあり、一般的により高いレベルの方が重宝されます。
①汎用スキル
語学力やパソコンスキルのようなあらゆる職業や職場で役に立つ能力のことです。
②専門スキル
プログラミングスキルや税務・会計スキルなど、特定の職種で役に立つ能力のことです。
③特化スキル
専門スキルを更に磨いた、習得の難しいスキルです。このスキルがあれば重宝されます。
ヒューマンスキル
対人関係能力を表す用語で主に7つに分かれています。
①コミュニケーション力
部下の気持ちやモチベーションを把握しておくことはチームを動かすためには必須です。
②ヒアリング力
ヒアリングを通じてチームの現状を細かく把握しておくことで些細な問題で躓くことを防止できます。
③交渉力
プロジェクトにおいて利害関係のある人との交渉で、お互いにwin-winの関係に持っていくことは非常に重要な能力です。
④プレゼンテーション力
論理的に話す順序を組み立てることです。相手に伝わりやすい話し方をすることで会議を円滑に進めることができます。
⑤動機付け(働きかけ力)
従業員のモチベーションを常に高く保つことができればチームの生産性も高く保つことができます。
⑥向上心
マネジメントする人に向上心がなければ部下はついてきません。
⑦リーダーシップ
リーダーシップは新しいことを始めるときに必要な非常に重要な能力です。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは知識・情報を整理し、物事の本質のを見抜く能力のことです。
抽象的な事象に対して、本質を見抜くことで解決の道を示すことができるので、経営者にとって必要な能力であることが分かります。
①ロジカルシンキング(論理的思考)
物事を理論的に考える能力
②ラテラルシンキング(水平思考)
固定概念に捉われず自由に発想をする能力
③クリティカルシンキング(批判的思考)
物事の問題を分析的に捉え、思考する能力
④多面的視野
様々な角度からアプローチできる能力
⑤柔軟性
しなやかな思考によって臨機応変に対応できる能力
⑥受容性
自分とは異なる価値観を受け入れ向き合うことができる能力
⑦知的好奇心
未知のものに対して興味を持ち続ける能力
⑧探究心
物事に対し深い興味を示し、問題の深いところまで自発的に探求する能力
⑨応用力
知識・経験を活用・組み合わせることによって課題に対応できる能力
⑩洞察力
物事の本質を正しく見極める能力
⑪直感力
物事を直観的に捉え、即座に反応する能力
⑫チャレンジ精神
困難な課題や未経験分野においても、あきらめず果敢に挑戦し、行動を起こせる能力
⑬俯瞰力
立場・場合に応じて見方を変え、物事の全体像を正確に把握する能力
⑭先見性
現時点でまだわからないことに対して、早い段階から予測を立てる能力
参照:)「日本の人事部 マネジメント・管理職に求められるスキル」
上記の図は,3つのスキルを段階による要求の割合の変化によって表しています。一般職から経営層に近づくにつれてテクニカルスキルの要求が減っていき、逆にコンセプチュアルスキルの要求が増えていくのがわかります。
またヒューマンスキルはどの段階においても必要とされていることが分かります。このスキルは経験を必要とするのですぐに身につくものではありませんが、長期的に育成することが必要です。ベテランになってからも役に立つスキルであるため、今後の活躍を見越す基準として、人事的にも採用の際の重要な基準となります。
現場におけるマネジメントの課題
下のグラフは、マネジメントが必要とされるマネージャーの中でも、一番多いミドルマネージャーに対して、現在感じている課題を調査したものです。
参照:)「『ミドルマネジャーの課題に関する調査』結果報告」HR pro
グラフから「メンバーの育成が不十分」と「メンバーのマネジメント不十分」が現在の重要課題であることが読み取れます。
活躍しているミドルマネージャーの中心世代
参照:)「『ミドルマネジャーの課題に関する調査』結果報告」HR pro
ミドルマネージャーの中心世代は40代前半の中堅世代です。その世代が若手であった時代は新卒採用が抑制されていた時代でした。
今のマネージャー世代が抱える主な問題は、この若手の時代に部下を育てる経験をあまりしてこなかったこと、そのために自分がリーダーになりチームをマネジメントをするという経験が少なかったことが考えられます。
マネージャーになっても部下に仕事を任せることや、チームとしての目標を定めることに苦手意識を感じて、その結果自分で多くの業務を抱えてしまい組織としての力を発揮できず期待される成果を出せなくなっている、という問題があります。
ミドルマネージャーの課題
ミドルマネージャーの多くが「カッツモデル」におけるヒューマンスキルが欠けているというのが現状の具体的な問題だと思われます。
特にコミュニケーション能力やヒアリング能力が欠けているために部下の育成やメンバーのマネジメントが不足している、という結果に繋がっています。このような状況を改善するためには、コーチングなどの個人の自発性や多様性を踏まえた行動を促す内容の研修プログラムを導入して、コミュニケーションに関する能力やスキルを身に付けさせることが考えられます。
ヒューマンスキルは長期的に必須となる能力なので、ここに視野を向けていくことがミドルマネージャー世代には大切です。
まとめ
マネジメントは人の上に立つ立場としてとても重要な能力ですが、普段の業務をこなしているだけで自然と身につくものではありません。マネージャーになる前にマネジメントを身につける機会や環境が必ず必要となります。
次のマネージャー世代として将来のキャリアアップを図っていくために、この記事をぜひ参考にして頂きたいです。
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