人材獲得競争が激化する近年、従来のリクルーティングのみでの対応は難しくなってきました。リファラル採用やダイレクトリクルーティングなど採用手法の多様化が進む中で新たな採用手法として「スクラム採用」が注目を集めています。
本記事では、
- スクラム採用とは
- 導入のメリット・デメリット
- 導入企業事例
などをご紹介します。
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スクラム採用とは?
スクラム採用とは、現場社員主導型の採用活動であり、株式会社HERPによって提唱された概念です。ラグビーでスクラムを組むように、採用におけるゴール(採用目標)の達成に向けて全社員が一丸となり取り組む採用方式のことです。
以下3点を紹介していきます。
- スクラム採用が成立する3つの条件
- リファラル採用との違い
- スクラム採用は一歩間違えると違法?
スクラム採用が成立する3つの条件
スクラム採用が成立するには3つの条件が満たされている必要があります。
- 権限委譲
- 成果の可視化
- 採用担当のプロジェクトマネージャー化
権限委譲
採用活動のワークフローを分解し、各フローの権限を最適な担当者に委譲するというものです。各職種ごとの最適な採用方法に関して、検討や改善を現場主導で行うことも意味します。
成果の可視化
採用活動を通して得られた成果を全社員にフィードバックし、定期的な振り返りができている状況のことです。
採用担当のプロジェクトマネージャー化
採用担当者が、採用活動というプロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャーとして機能している状況のことです。採用関連の知見を現場社員に提供する役割を担っています。
リファラル採用との違い
スクラム採用は、社員紹介で採用を行う点でリファラル採用と混同されがちです。しかしスクラム採用は、人材要件定義や選考まで現場社員が行うという点でリファラル採用とは異なっています。
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スクラム採用は一歩間違えると違法?
職業安定法第30条には、「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない」という記載があります。この許可なしで有料の職業紹介事業を行うことは違法であり、社内の紹介者に対して、対価を支払った企業も違法性を問われる可能性があります。
しかし、例外として、賃金や給料として支払うことは認められています。 そのため、紹介してくれた社員への紹介報酬は、賃金や給料の形で支払いましょう。紹介報酬については就業規則や雇用契約に明記する必要があり、これらの条件を満たせば違法にならないケースがほとんどです。
【参考文献】「昭和二十二年法律第百四十一号 職業安定法」 e-Gov法令検索
スクラム採用が注目される背景
スクラム採用が注目される背景としてはどのようなものがあるのでしょうか。
- 採用方法の多様化
- ジョブ型雇用の拡大
これら2つを紹介します。
採用方法の多様化
今までの採用方法といえば、新卒一括採用などがメインでしたが、現在はダイレクトリクルーティングやリファラル採用などさまざまな採用手法が用いられるようになりました。その中で、採用担当者にかかる負担は増すばかりです。
求職者との接点が増えてもうまく活用できていないケースも多いのではないでしょうか。そのような問題に対応するひとつの手法として、全社的に取り組みを展開するスクラム採用が注目されています。
ジョブ型雇用の拡大
中途採用もさらに一般的になり、専門的な知識や経験を有する人材は現在とても重宝されるようになりました。しかし、ジョブ型雇用に合わせた採用は採用担当者だけの判断だけでは限界があります。そこで、業務内容を熟知している現場社員の意見が重要になってくるのです。
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スクラム採用の導入メリット
スクラム採用導入のメリットは3つあります。
- 現場にマッチした人材を安く確保できる
- 採用担当者の負担を軽減できる
- 社員のエンゲージメントが向上する
現場にマッチした人材を安く確保できる
各現場の特定のニーズや文化に基づいて評価基準をカスタマイズできるため、一般的な採用プロセスよりも精度の高い人材選定が行えます。これにより、求めるスキルセットや価値観を持つ人材を効果的に見つけることができます。
また、精度の高い人材選定により、短期的には採用プロセスでのミスマッチによる再採用のコストや初期の教育やサポートにかかる時間とコストを削減できます。また、長期的には業務効率の向上と人員補充に必要な費用の節約が期待できます。
採用担当者の負担を軽減できる
採用活動における業務を細分化して複数の部署や社員に振り分けることで、採用担当者の業務負担を軽減できます。前述の通り、スクラム採用では採用担当者がプロジェクトマネージャーとして機能することが重要になってきます。
採用担当者の業務負担が軽減されれば、その分全体のマネジメントに集中できるようになり、効率よく業務を進められるようになります。
社員のエンゲージメントが向上する
社員が自ら採用活動に関わるため、会社の魅力やビジョンへの理解が深まり、結果的に社員のエンゲージメントが高まります。社員が自社の魅力を再確認し、優秀な人材の獲得に向けて互いに協力し合うことで更なるエンゲージメントの向上が期待できるのです。
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スクラム採用の導入に伴うデメリット
一方で、スクラム採用には3つのデメリットも存在しています。
- 採用業務が煩雑化する
- 現場社員の負担が増える
- 社員の意識を醸成するのに時間がかかる
採用業務が煩雑化する
スクラム採用では、それまで人事部だけで行っていた採用活動に複数の部署や社員が携わるため、どうしても採用の業務が煩雑化します。採用に関する明確な役割分担や適切な情報共有ができていないと、かえって採用担当者の負担が大きくなる恐れがあります。
現場社員の負担が増える
現場社員は通常業務に加えて採用業務もこなす必要があるため、負担が増えることは間違いないでしょう。採用業務にコストがかかりすぎて通常業務がおろそかになってしまっては元も子もありません。通常業務と採用業務のバランスを取ることが重要になるでしょう。
社員の意識を醸成するのに時間がかかる
スクラム採用への理解が進まないと社員の意識の醸成に時間がかかるどころか、現場社員の負担が増えることによる不満から意識が低下する可能性もあります。また、同じ社内であってもスクラム採用にうまく調和し、理解が進むところやそうでないところもあるでしょう。社員の意識が醸成されない場合には何かしらの対策が必要でしょう。
スクラム採用の進め方
スクラム採用を効果的に実施するためには、採用プロセスを明確に定義し、柔軟かつ協調的な体制を築くことが重要です。本セクションでは、成功の鍵となる3つのステップを詳しく解説します。
STEP1:ビジョン/目的の全社共有
スクラム採用の第一歩は、採用のビジョンと目的を全社で共有することです。採用活動が単なる「人員補充」のためではなく、組織の成長戦略と密接に結びついていることを全従業員に理解してもらう必要があります。
具体的には以下のようなアプローチが考えられます。
- 経営層から直接、採用方針を伝える全社ミーティングを実施
- 採用の目的を可視化する資料(スライド等)を作成・配布
- チャットツール等でオープンな議論の場を設ける
従業員一人ひとりが採用活動を自分ごととして捉えるようになり、協力体制が強化され、より強固な「スクラム」が出来上がるのです。
STEP2:スクラム採用実施に向けた体制構築
ビジョンの共有が終えたら、具体的な体制構築に取り掛かります。ここでは、以下のポイントに注力しましょう。
採用チームの編成
各部署からメンバーを選抜し、採用プロジェクト専任チームを編成します。採用担当者だけでなく、現場の責任者やエンジニア、デザイナーなど多様な視点を取り入れることが重要です。
役割分担の明確化
スクラム採用では、各メンバーの役割を明確に定義する必要があります。
たとえば、「プロダクトオーナー」に相当する役割を人事責任者が担い、スプリントレビューのリーダーを現場リーダーが担当するなど、プロジェクト管理のフレームワークに沿った体制を整えます。
ステークホルダーの整理
採用活動に影響を及ぼす全ての関係者(例:経営層、採用担当、各部門の責任者)を巻き込み、進捗状況を定期的に共有します。これにより、組織全体で連携が取りやすくなり、採用プロセスの一貫性が保たれます。
STEP3:実行・改善サイクルの確立
スクラム採用の最も特徴的な要素は、採用プロセスを短期間のスプリントとして運用し、その結果を基に改善を重ねることです。
以下の手順を参考にし、サイクルを確立しましょう。
1.短期間で成果を出すスプリント設計
採用プロセスを1~2週間単位のスプリントに分割し、それぞれの目標を明確に設定します。たとえば、「この週で候補者リストを完成させる」などの具体的な目標を定めます。
2.スプリントレビューの実施
各スプリント終了後にチームでレビューを行い、達成した目標や課題点を洗い出します。この際、候補者体験を改善する観点も忘れてはなりません。
3.改善点の反映
レビューで得られたフィードバックを次のスプリントに組み込み、プロセスの最適化を図ります。この反復的な改善が、採用活動全体の精度を高めます。
スクラム採用を成功させるポイント
スクラム採用を成功させるためのポイントを3点紹介します。
- 定期的にミーティングや採用方針の共有を行う
- 情報を一元管理する
- 現場と採用担当者の役割を明確にする
定期的にミーティングや採用方針の共有を行う
スクラム採用は従業員が積極的に採用活動に参加することを前提に行うものです。スクラム採用プロセスに関わる全てのメンバーが、最新の状況や進捗を把握し、効率的な採用活動を行うために、毎週または隔週でミーティングを設定します。
定期的に採用の現在の応募者の採用状況や採用基準が実際に適用されているかどうかを確認することは、採用基準をより現場に即したものに変更し、採用後のミスマッチを防ぐことにつながります。
情報を一元管理する
スクラム採用では候補者に対するデータや評価、選考プロセスの進捗などの管理が重要です。一括に管理できる社内体制を整えていきましょう。また採用に関わる人数が多い分、個人データなどの重要な情報を扱う場合はルールや閲覧方法を構築する必要があります。
現場と採用担当者の役割を明確にする
スクラム採用における採用担当者の役割は従来の採用手法と異なります。採用担当者の役割は採用活動のマネジメントとコントロールなどと、プロジェクトマネージャーに近い動きを意識する必要があります。
この際重要になるのが権利の移譲です。現場の従業員も参加するため、採用部門と現場がそれぞれの役割を明確にする必要があります。
そのため、現場への権限移譲は重要です。例えば、採用部門がプロセス全体の管理や調整を行い、現場が具体的な評価や面接を担当する形にすることが考えられます。
スクラム採用の導入企業事例
実際にスクラム採用を導入している企業を3社紹介します。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリ
フリマアプリを運営する株式会社メルカリでは、創業当時からリファラル採用に力を入れており、社員全員が採用活動に参加する文化が根付いています。
同社はあらゆる施策において「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションと、「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを軸に展開しています。
スクラム採用の実践においては、各領域のプロフェッショナルがそれぞれの価値を発揮することで、人事担当以外のメンバーが活躍しているそうです。
また、経営陣のコミットメントも非常に重要で、週1で開催される全社会議の場において採用に対するメッセージを発信していると言います。
バリューからの落とし込みと、経営陣のコミットメントによって積極的に採用を進めているそうです。
株式会社PR Table
PR Table
PR活動支援サービスを展開する株式会社PR Tableでは、全社PRパーソンという考え方に基づき、採用活動に対しても全社で取り組んでいます。
社内外の企業理解を深めるための情報公開・共有を積極的に行っています。実際に、面接のフィードバックや選考プロセスなど、オファー時の給与を除くすべての情報を全社員にオープンにしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、スクラム採用について、導入のメリットデメリットや導入企業事例などをご紹介しました。
まだまだ新しい採用手法ですが、今後さらに導入する企業は増えてくると予想されます。上手く活用すれば自社にマッチした人材の獲得や採用担当者の負担軽減など、様々なメリットが期待できます。
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