採用市場が売り手市場となる中、エンジニア採用に苦戦する企業が多いです。
エンジニアは母数が少なく、また専門性も高いため、「求人サイトに登録しているのに、応募が集まらない」「エンジニアからは応募がこない」といった声をよく聞きます。
その際、効果的な採用手法として挙げられるのが「ダイレクトリクルーティング」です。
企業の担当者様の中には、
- ダイレクトリクルーティングでどのようにエンジニアを採用するの?
- どのようにダイレクトリクルーティングを始められる?
- 実際エンジニア採用にどれほど有効?
など、さまざまな疑問や不安を抱える方がいるでしょう。
本記事では、ダイレクトリクルーティングの概要から、エンジニア採用に有効な理由、そのコツや注意点について詳しく解説します。
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ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは、自社に合った人材を企業自ら見つけ出し、直接アプローチをする採用手法のことです。
従来、企業が行っていた採用方法は、オンラインなどの求人媒体に求人を掲載する方法、転職イベントへ参加する方法など、「求職者による求人への応募を待つ」スタイルでした。
しかし、近年注目を集めているダイレクトリクルーティングという手法では、求職者からのアプローチを待つのではなく、企業自らがSNSやイベントなどを通して、採用したい人材を探し、アプローチを行います。
そのため、「攻め」の採用と考えられています。ただし、アプローチ後の書類・面接選考等のプロセスは従来の採用方法と変わりません。
エンジニア採用でダイレクトリクルーティングが有効な理由
エンジニア採用にダイレクトリクルーティングが有効な理由として、「候補者数を増加できる」ことが挙げられます。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給のバランスは以下図のようになります。
この調査では、エンジニアを含めたIT 人材に対する需要が今後拡大する一方で、国内の労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれ、IT 人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、需要が供給を上回り、2030年には、最大で約 79 万人に拡大する可能性があると試算されています。
加えて、東京ハローワークが公開している「職種別有効求人・求職状況」によると、東京都におけるIT関連の職業の有効求人倍率は2.01倍、うちエンジニアを含むIT技術関連職の有効求人倍率は3.17倍です。職種全体平均が1.48倍であるため、IT人材の需要の高さがうかがえます。
引用元:東京ハローワーク|職種別有効求人・求職状況(一般常用)
ダイレクトリクルーティングを通して、いわば「攻め」の採用を行うことで、潜在候補者数を増やすことができます。また、自社が求めるスキルや雰囲気に合った人材のみにアプローチが可能であるため、採用のマッチ度を高めることができるでしょう。
ダイレクトリクルーティングを利用する4つのメリット
ダイレクトリクルーティングを行うメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 転職潜在層へのアプローチが可能
- コストを削減できる
- 的確なアプローチを行える
- 採用後のミスマッチを防止できる
転職潜在層へのアプローチが可能
転職潜在層とは「自分にあった企業があれば転職をしたい」と考えている層を指します。
将来的な転職へ向けた情報収集を目的として転職サイトに登録して企業情報を見ているといった候補者も多く、「今より良い会社があれば転職したい」と考えていても実際の行動には移していない人も多くいます。
特にエンジニアに関しては、転職意欲はあっても転職活動を行っていない人材も多いため、自社についてまず知ってもらう機会としてもダイレクトリクルーティングは非常に効果的です。
|コストを削減できる
企業の採用担当者が候補者に対して、自らスカウトをするというダイレクトリクルーティングの特性所ゆえに、コスト削減につながる理由がいくつかあります。
- 人材紹介料がかからないから
- 求人広告費が削減されるから
- 採用プロセスが効率化されるから
- 企業文化にマッチした人材と接点を持ちやすいから
以上の理由から、ダイレクトリクルーティングでは、採用コストの削減が行えるというメリットがあるといえます。
|的確なアプローチを行える
企業側がアクションを起こすことで、ピンポイントで「採用したい」候補者のみにアプローチできます。さらに、求める人材と直接コンタクトを取ることで、選考のステップを減らすことも可能になり、よりスムーズに面接などの選考へ進めることが可能になります。
特に、ダイレクトリクルーティングサービスに登録している候補者や、SNSにて就職・転職に関する情報収集をしている候補者には、情報感度が高かったり、より主体的に行動できたりするような、優秀層が多いです。そのため、ダイレクトリクルーティングによって、優秀な候補者との接点を増やすことができるでしょう。
|採用後のミスマッチを防止できる
企業からスカウトを直接行うことで、候補者1人に対してかける時間が増えたり、より密接なコミュニケーションをとったりすることが可能になります。さらに、企業側は、アピールしたい自社のポイントを直接提示することができるため、入社後のミスマッチを減らすことができます。
まとめると以下の理由からミスマッチが防止できるといえます。
- 直接的なコミュニケーションができるから
- パーソナライズされたアプローチが可能だから
- 自社のアピールポイントが伝わりやすいから
ダイレクトリクルーティングを利用する3つのデメリット
ダイレクトリクルーティングを行うデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 大量採用が難しい
- 採用担当者への負担が増える
- ノウハウ構築に時間がかかる
|大量採用が難しい
ダイレクトリクルーティングは、特定の専門職や重要なポジションの採用には効果的ですが、大量採用には他の手法やツールと併用することが必要となる場合が多いです。理由は以下の通りです。
- 企業が自ら候補者をリサーチし、アプローチするため時間とリソースの制約される
- 候補者に対して個別に対応する必要がある
- リーチできる候補者の数には限界がある
以上の理由から、ダイレクトリクルーティングでは大量採用は難しいです。大量採用が必要な場合には、他手法と併用して採用を行いましょう。
|採用担当者への負担が増える
従来の採用方法と比較して、ターゲット層となる学生の調査やオファー送信など、自社で行わなければならない業務が増えるため、採用担当者の負担が増大します。具体的には以下の業務量が増加します。
- 候補者のリサーチと発見
- 個別のアプローチとコミュニケーション
- スクリーニングと選考の手間
これらの理由から、ダイレクトリクルーティングでは採用担当者の負担が増えることが一般的となっています。負担を軽減するためには、チーム内での業務分担の最適化や効率的なツールの活用、代行サービスの活用などが必要不可欠といえます。
|ノウハウ構築に時間がかかる
数多くの登録者の中から、ターゲットを絞り込み、採用を成功させることは容易ではありません。なぜなら高度なノウハウがなければ効果を得られないからです。例えば、以下のノウハウが必要となるでしょう。
- ダイレクトリクルーティング手法に対する高度なスキルと知識の習得
- 効果的なリサーチ手法の確立
- エンゲージメント高める方法論の確立
自社の求める人材の言語化から、アプローチ方法まで、より的確な人材を獲得するための戦略が必要になります。こういったノウハウを蓄積するには、長いスパンがかかります。
エンジニアのダイレクトリクルーティング5つのコツ
エンジニア採用にてダイレクトリクルーティングを行う際には、以下のコツを意識しましょう。
- 現場エンジニアと協力し採用活動を進める
- 多様なチャネルでアプローチする
- 専任担当者を決める
- 求人原稿の中身を充実させる
- アプローチ後カジュアル面談を実施する
現場エンジニアと協力し採用活動を進める
エンジニアの採用においては、人事部全体だけでなく、現場の関係者もポジションの理解に巻き込むことが非常に重要です。
自社のエンジニアがどのような人物像を求めているのかを明確に把握することで、転職・就職希望者との最適なマッチングが可能となります。
人事部門でキャリアを積んできた採用担当者だけでは、完全にエンジニアのニーズを把握することは難しいでしょう。そのため、自社の現場エンジニアを採用チームに加えることが重要です。以下のポイントについて、認識を統一しておくといいでしょう。
- 採用要件の詳細化(特に現場で必要な具体的なスキルの把握)
- ソフトスキルの詳細な把握(コミュニケーション能力、リーダーシップなど)
- 自社の求人に魅力を感じた理由のヒアリング(アピールポイントの確認)
- (可能であれば)書類選考や面接への参加
多様なチャネルでアプローチする
現在の採用市場は、エンジニアがますます不足しており、母集団の形成や接点の確保が難しい状況です。
求人広告や人材紹介、転職イベント、転職サイトなどの従来のチャネルの確保だけでなく、今後は自社の採用SNSや自社ブログ、採用オウンドメディアへの寄稿、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用などの新しい手法を取り入れることが重要です。
以下は、多様化する採用手法を、コストと採用スパンの2軸のマトリクスに落とし込んだ図になります。
特に、ダイレクトリクルーティングは、企業が優秀な社員を手放さない傾向がある現在の採用市場において、転職潜在層と接点を持つ有効な手法となっています。
専任担当者を決める
ダイレクトリクルーティングのデメリットとしては、採用までに時間がかかる上に、業務量が多いことが挙げられます。加えて、スカウトメールの作成などは、求人を魅力的に見せる必要があり、業務に人数を割くことが結果に直結するとは限りません。
成果を出すにはダイレクトリクルーティングについて、経験値を持った人間が行う必要があるため、専任の担当者を決めて業務を行わせた方が、結果が表れやすくなります。
面接官など現場の社員の方が効果的に判断できる部分と、アプローチなど人事部員の方が見極めやすい部分など、適材適所で人材を配置し、専任担当とする必要があるでしょう。
求人原稿の中身を充実させる
ダイレクトリクルーティングでも、もちろん求人原稿を用意しておく必要があります。給与や勤務地などの基本情報に加えて、仕事内容の詳細に関する説明を充実させましょう。
ダイレクトリクルーティングの利点として、従来の採用プロセスよりも人と人との関わりの中で候補者に魅力づけできる点が挙げられます。自社で働くイメージをやり取りの中から持ってもらうことができるでしょう。
そうしたやり取りを補強する役割として、充実した求人原稿を用意しておくことが大切です。
アプローチ後カジュアル面談を実施する
エンジニアの採用倍率は約8倍と高く、採用が難しい状況です。
そのため、最近のエンジニア採用では、直接面接する前にカジュアルな面談を行うことが一般的です。このカジュアルな面談では、会社の魅力を伝え、応募者の興味を引き出すことが目的です。
しかし、カジュアル面談は慣れないと難しいとされています。ですので、まずは適切なノウハウを身につけることが重要です。
具体的には、
- 共通の目標や価値観を強調する
- 話す割合に気をつける
- 次のステップを明確に説明する
- 面接後も丁寧に対応し、定期的にコンタクトをとる
などの点を意識すると良いでしょう。
■カジュアル面談については、以下の記事でより詳しく解説しています。
カジュアル面談とは?スカウト成功の鍵は企業のプレゼン力
一般的な料金体系・費用相場
ダイレクトリクルーティングの費用は大まかに、サービス利用費と運用費用に分かれます。
サービス利用費はサービス提供会社に支払う費用であり、運用費用は自社の人件費や外部委託の場合のコストなどが含まれます。
料金形態
ダイレクトリクルーティングサービスを利用する際の料金形態は大きく初期費用・定額型と成果報酬型の2つに分かれます。
初期費用・定額型では、契約時や定期的な支払いで一定額が支払われます。
成果報酬型は、実際の採用が成立した際に一定金額が支払われる方式です。また、スカウトメールの送信などに課金される場合もあります。
費用相場
主要なダイレクトリクルーティングサービスの成果報酬費用の相場は30万円から100万円程度です。
このため、中途採用の成果報酬費用の相場である年収の35%に比べてコストを抑えることができます。例えば、年収700万円のエンジニアの場合、中途採用の場合は約245万円の費用がかかりますが、ダイレクトリクルーティングを利用すれば、最大で145万円のコストカットが可能です。
サービスを選ぶ際の注意点
エンジニア採用において、サービスを選ぶ際には、以下の3つの観点を意識しましょう。
- 自社が採用したい人材が登録しているか
- 自社が求めるサービスや機能を提供しているか
- 自社に合った料金体系か
自社が採用したい人材が登録しているか
ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ際にまず確認すべきなのが、自社が求める学生や中途人材がそのサービスに登録しているかどうかです。
中途採用であれば、「ポジション」「プログラミング言語」「経験年数」「フレームワーク」などを順に確認し、検討を行いましょう。
新卒の人材を獲得する際には、「対象のエリア」「大学属性」「学部系統登録」「学生の年次」「登録学生数」と照らし合わせながら比較しましょう。
特定の学部出身の人材にアプローチしたい場合には、絞り込み可能な学部系統も確認しておきましょう。
インターンシップへのオファーなどを学生に行うことで早い段階から企業の認知拡大なども可能となるため、中途採用だけでなく新卒採用を行う観点からも利用しやすいかどうかが重要です。
自社が求めるサービスや機能を提供しているか
ダイレクトリクルーティングサービスでは、候補者と企業のマッチング力を高めるために様々な機能が提供されています。
提供されている機能は各サービスによって異なるため、自社の採用活動が最適化できるような「検索機能」や「オファー・スカウトメール配信機能」「管理機能」などサービスをいくつか比較しながら選ぶ必要があります。
このほかに、スカウト代行やコンサルティングによる採用活動サポートを行っている企業も存在します。
自社に合った料金体系か
ダイレクトリクルーティングサービスの料金形態は、利用料に成功報酬が追加されるものと、月額などの定額料金制の2種類に分類されます。
この他にも初期費用が掛かる場合や、大学1~2年生との早期接触には早期利用料が発生したり、スカウト上限数によって費用が変わったりするなど、各社オリジナルの料金プランが存在します。自社の採用予算と照らし合わせながら最適なダイレクトリクルーティングサービスを選びましょう。
おすすめのダイレクトリクルーティングサービス7選
エンジニア採用に向いているおすすめのダイレクトリクルーティングサービス7選をご紹介します。
Wantedly
特徴
・待遇や給与ではなく共感によって行う採用媒体
・他サービスに比べて多くの機能が備わっている
・TwitterやFacebookなどのSNSとの連携が可能
料金
4つのプランから選択
トライアル:無料
ライト:半年契約 月額4.5万円 年間契約 月額4万円 2年契約 月額3.5万円
ベーシック:半年契約 月額15万円 年間契約 月額13万円 2年契約 月額11万円
プレミアム:半年契約 月額20万円 年間契約 月額17万円 2年契約 月額14万円
■Wantedlyの概要については、以下の記事で詳しく解説しています。
Wantedlyとは?評判、メリット、機能、料金プラン、使い方など解説
特徴
- 世界で約200カ国、ユーザー数約7億5000万人の最大級ビジネス型SNSサービス
- 自己紹介ツールとしても使え、事前に登録者の詳細を把握できる
- 法人向け機能があり、企業の広報、PR広告のツールとしても利用できる
料金
・学習ツールとしても利用できる料金無料プランと有料プランがあり、有料プランは全部で4種類
プレミアムキャリア:月額29.99ドル
プレミアムビジネス:月額47.99ドル
セールスナビゲーター:月額64.99ドル
リクルーターライト:月額99.95ドル
お問合せ先:https://jp.linkedin.com/
■Linkedinの運用については以下の記事で詳しく解説しています。
LinkedInにおいてスカウトを成功させるポイントとは?スカウトメールの書き方や料金も徹底解説!
Green
引用元:https://get.green-japan.com/
特徴
- IT人材に特化した運用型求人メディア。若手のIT・WEB人材約100万人が利用
- 月200通のスカウトメールを送信でき、スカウト機能が充実
- 一度掲載した企業ページや求人広告をずっと利用でき、費用を抑えられる
料金
・初期費用 45/60/90/120万 + 成果報酬 30/50/70/90万
お問合せ先:https://get.green-japan.com/
Forkwell
特徴
- ・ITエンジニア約4万人が利用する運用型求人メディア
- ・登録者の全てがプログラミング経験者で即戦力に
- ・Forkwell開催の勉強会にてエンジニアのスキル分けがされ、スキル別のアプローチが可能
料金
資料請求後の打ち合わせ時に確定。
お問合せ先:https://recruiting.forkwell.com/
paiza
特徴
- IT人材に特化した運用型求人メディア。約30万人のITエンジニアが登録。
- 全ての求職者がコーディングテストを受験しており、スキルレベルが可視化される
- 完全成果報酬型のため、スキルレベル・採用結果に見合ったコストで利用可能
料金
完全成果報酬型。要問い合わせ。
お問合せ先:https://paiza.jp/recruiters/advice
LAPRAS
特徴
- エンジニア転職潜在層をターゲットにしたダイレクトスカウトサービス
- オープンデータを自動収集して人材データベースを生成
- AIが転職時期を判断し、最適なタイミングでスカウトメールを送信可能
- 情報発信や収集に熱意のある質の高いエンジニアが対象となる
料金
月額定額制。要問い合わせ。
お問合せ先:https://scout.lapras.com/
Findy
特徴
- 約5万人のITエンジニアが登録するIT人材特化型運用型求人メディア
- AIによる独自のスキル判定を用いて自動で求職者と企業をマッチングしてくれる
- マッチング後はスカウトメールを無制限に送信可能
料金
定額制 5/7.5万(月額) + 成果報酬
プランにより料金が異なるため、要問い合わせ。
お問合せ先:https://findy-code.io/enterprise-service/
まとめ
この記事では、エンジニア採用にダイレクトリクルーティングを用いる際のコツや、利用できるサービスなど幅広くご紹介しました。
採用難と言われるエンジニア市場において、ダイレクトリクルーティングを行うことで優秀な人材を獲得できるかもしれません。まずはサービスの利用や、採用SNSの運用から始めてみてはいかがでしょうか。
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